2009年01月16日 (金)おはようコラム 「住宅の耐震化は進んでいるか~阪神・淡路大震災から14年~」
(阿部キャスター)
明日で阪神・淡路大震災から14年です。阪神大震災では、多くの人が壊れた住宅の下敷きになって亡くなったため、住宅を地震に強くすることが大きな教訓となりました。
その後、住宅の耐震化は進んでいるのですか?
(山﨑解説委員)
さらに努力が必要な状況です。
住宅の耐震化は、地震の死者を減らすために最も重要な対策で、国は平成27年までに全国の住宅の耐震化の割合を90%まで高めるという目標を掲げていますが、全国の住宅の4軒に1軒にあたる1000万戸以上が、現在の耐震性を満たしていないとみられます。
(阿部)
目標の達成はできるのですか?
(山﨑)
住宅の平均の建て替え年数は30年ほどです。したがって、建て替えによって、結果として多くの耐震化が進むとみられますが、それでも100万戸から150万戸の住宅は残ってしまいそうです。
というのも、そうした住宅には高齢者などの世帯が多く、いつ来るかわからない地震に備えて100万円を超えるような改修費用を出すことには抵抗のある人が多いのです。また、悪質業者に騙された人の話がニュースになったりして、誰に相談していいか分からないといった思いも強く持っています。
(阿部)
そうした不安を取り除いてあげないといけないですね?
(山﨑)
そこで、自治体が地域にでていく活動で、実績をあげているところがあります。
耐震化のためには、まずは住宅の強度を調べる耐震診断をする必要がありますが、東京の中野区は、区内にある凡そ4万戸の古い住宅すべてを個別に訪問し、耐震化の必要性と補助の仕組みなどを説明したところ、平成18年の耐震診断の件数は、東京23区の平均の6倍余りの凡そ1000件になりました。
全国の多くの自治体が耐震診断の費用を補助する制度を作っていますが、制度を作ったからといって待っているだけでなく、地域への働きかけを強めてニーズを掘り起こすことが大切です。
東海地震、東南海・南海地震、首都直下地震、近畿直下地震など、全国で大きな地震の切迫性が指摘されているだけに、自治体は、住宅の耐震化をさらに積極的に進めて欲しいと思います。
投稿者:山﨑 登 | 投稿時間:08:46