金総書記も止められない北の市場拡大(下)
閉鎖命令に従わず
ところが、「予想外の副作用が続出した」(韓国政府の当局者)ことが分かってきた。まず、北朝鮮全域の市場に毎日数百万人もの住民が集まったことから、「情報統制」が難しくなった。金総書記の「健康不安説」が伝えられて以降、情報統制は体制安全のため、より深刻な課題として浮上している。さらに「黄色い風」(韓国資本主義の風潮)も市場を通じ急速に広まりつつある。北朝鮮の消息筋は「北朝鮮の市場で、韓国製品といえばブランド物と認識されている」と話す。
在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の機関紙「朝鮮新報」は04年10月、「平壌の統一通り市場は長さ約100メートル、幅約60メートル、建物面積約2100坪、売台(店舗)約1400店、駐車場約200台という規模で、流動人口は毎日約2万人」と報じた。北朝鮮最大規模という平安南道の平城市場の流動人口は毎日約10万人といわれている。「イナゴ市場」という違法市場では、「跳びはね屋」「走り屋」と呼ばれる行商人たちが販売禁止の国際機構援助物資や軍需品を売っているほどだ。
◆住民ら「市場統制は反人民的」と強く反発
北朝鮮は、市場の弊害が相次いだことを受け、05年から取り締まりを強化し始めた。05年10月に再び配給制を実施すると発表、07年後半には49歳以上の女性に限り商売を許可した。さらに、韓国製品など約60種の取引禁止品目を発表している。
しかし、こうした措置は全く効果がなかった。北朝鮮住民の経済事情が大きく変わったためとみられている。韓国政府の当局者は「北朝鮮では4人家族の1カ月の生活費として4-6万ウォン(約2600-4000円)必要だが、労働者の給与は3000-1万ウォン(約200-660円)程度。違法な商売でもしなければ飢え死にするのだから、統制できるはずがない」という。北朝鮮住民も以前とは違い、「商売を禁止するのは反人民的措置」として、制限に強く反発しているという。中央大学北朝鮮開発協力学科のイ・ジョウォン教授は「市場統制が厳しくなれば、闇市場が各地に発生、生計型犯罪が増加することにより、かえって体制不安が広がる恐れがある」とみている。
安勇炫(アン・ヨンヒョン)記者
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