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金総書記も止められない北の市場拡大(上)

閉鎖命令に従わず

 北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記は昨年「市場を許可したのは経済が困難な状況における過渡期的な措置」とし、市場を取り締まるよう指示した。本紙は13日、黄海南道の海州市場に掲示された布告文(写真)を単独入手した。これによると、北朝鮮の市場で売ることができる商品は、今年1月から個人が生産した農産品・肉類(牛肉除く)・衣類にとどまるということになる。北朝鮮当局は、「工業製品や輸入品はすべて国営商店でのみ販売でき、常設市場も“十日市”(十日に1回開かれる市場)に制限する」としている。これは「市場閉鎖」に近い措置だ。しかし、韓国政府の当局者は「現在、北朝鮮の市場統制は正常に機能していない。金総書記の命令通りにならないほど“市場”は北朝鮮内部に深く根付いている」と話す。

◆北朝鮮で韓国製品は「ブランド物」

 韓国政府や消息筋によると、北朝鮮は1950年10月に「内閣決定第9号」により、各市・道に1-2の農民市場を許可したという。「市場」とはいえ、農民らが十日に1回、畑で採れた野菜や内職で作った品物を当局の規制を受けながら商売する「市場ごっこ」のようなレベルのものだった。

 しかし、90年代半ばに餓死者が続出するなど経済難が深刻化すると、住民たちの生計を維持するため、実質的な市場が登場した。毎日開かれる闇市場では、工業製品や食糧が取引され、役人たちはわいろを受け取り、これを黙認した。2000年の南北首脳会談以降は、韓国製品も公然と出回るようになった。すると、北朝鮮は03年3月に「市場奨励措置」を発表、農民市場を工業製品や輸入品も販売できる総合市場に改編した。各市・郡に市場の建物を新築し、店舗を個人・企業に貸し出し、賃料に当たる「市場使用料」や、所得税的な性格を持つ「国家納付金」を徴収した。

安勇炫(アン・ヨンヒョン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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