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都:09年度当初予算原案(その1) 大逆風「余力」でしのぐ /東京

 ◇「景気」「環境」に重点 投資的経費5年連続増

 世界的な金融危機に端を発した不況に直面した都の09年度当初予算原案は「都民へ『安心』をもたらし、『希望』を指し示す予算」との編成方針を掲げた。かつてない減収分は基金の取り崩しや都債の活用でしのぎ、一般会計は前年度比3・8%減の6兆5980億円とほぼ前年並み。景気対策や環境、医療分野に重点的に予算を振り向けた。予算原案は復活財源200億円を最終調整し、来月開会予定の都議会第1回定例会に提出される。【木村健二、江畑佳明、須山勉】

 ■歳入

 根幹である都税収入は4兆7577億円となり、過去最高の水準だった前年度に比べて7520億円(13・6%)の減少だった。このうち法人2税(法人都民税と法人事業税)は1兆7805億円にとどまり、7743億円(30・3%)の落ち込み。下げ幅は都税、法人2税の区分とも過去最大となった。

 都税の減収を補うため、積み立てていた基金の取り崩しなどによる繰入金は約6・8倍の3085億円を計上。都の借金である都債も1077億円(40・4%)増の3743億円を発行する。財政規模に占める借金の割合(起債依存度)は5・7%で、国の37・6%と比べて大きな開きがあり、都財務局は「健全な状態を維持している」と強調している。

 ■歳出

 合計は減ったが、政策的経費に充てる一般歳出は1285億円(2・9%)増の4兆5422億円とし、4年連続で増加させた。このうち社会資本の整備に使われる投資的経費は、都市基盤の整備や耐震化を進めるため349億円(4・8%)増の7668億円を計上。投資的経費の増加は5年連続で、石原知事の就任以降で最高となった。人件費などに使われる経常経費も736億円(2%)増の3兆7554億円だった。

 テーマ別で伸び率が最も大きかったのが「労働と経済」(3704億円)の28・9%で、中小企業支援策や雇用対策に手厚く配分した。「生活環境」(2463億円)の5・9%、「福祉と保健」(8430億円)の2・8%が続いた。

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 ■解説

 ◇外部環境、楽観許さず

 都財政の潮目が変わった。何と言っても、景気の減速を受けて7520億円もの都税収入が一気に減った。一般会計だけで考えると、ちょうど神戸市(08年度当初で約7271億円)という政令指定都市一つ分が吹っ飛ぶような大逆風にさらされての予算編成だった。

 都は他の多くの自治体と異なり、国から地方交付税をもらっていない。歳入は法人2税をはじめとした都税収入に依存しており、景気動向が財政の浮き沈みに直結する。まさに09年度は両刃の剣のマイナス面が突きつけられた。

 だが、都は財政再建の取り組みを強化し、02~07年に続いたとされる景気拡大の恩恵に浴し、余力を蓄えていた。財源を調達する手法として象徴的だったのは基金の活用だ。法人事業税の一部の国税化に備えた対策特別基金は2215億円をすべて取り崩した。地球温暖化対策推進基金などを合わせた基金の取り崩し額は計2819億円に上った。

 一方、財政調整基金(09年度末の残高5185億円)は一銭も取り崩さず、財源として活用できる7基金の残高は1兆3880億円を維持した。当面の財政運営は余裕がありそうだが、不況が長期化するほど財政の硬直化が進む恐れがある。

 都政の最大のテーマである16年夏季五輪の招致は10月に開催都市が決まる。その結果によっても財政需要が変動する。夏に都議選が迫り、不況の中でも積極姿勢の予算規模となったが、今後も同水準の予算規模が続けられる保証はなく、楽観はできない。【木村健二】

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 <2009年度予算原案の規模>

                     伸び率

一般会計     6兆5980億円  -3.8%

(うち一般歳出  4兆5422億円   2.9%)

特別会計     4兆2831億円  -1.1%

公営企業会計   1兆9527億円 -11.2%

全会計合計   12兆8338億円  -4.1%

〔都内版〕

毎日新聞 2009年1月17日 地方版

 
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