16日の記者会見で09年度予算原案を発表した石原慎太郎知事は「世界的な金融危機の影響が深刻化し、都民、特に中小零細企業の不安は高まるばかり。こうした時だからこそ都が萎縮(いしゅく)することなく、果たすべき役割を果たしていく意味から予算編成に腐心した」と述べた。そのうえで「都民の期待に十分応えられるものと確信している」と自信を見せた。
ただ今後の財政見通しについては「世界を襲っている経済恐慌の波がいつ引くか予測がつかない。こっちは大海に浮いている木の葉だからね。1~2年で終わるのか、5年、10年になるのか」と当惑気味に語った。
新年度予算が都内経済に及ぼす効果を問われると「結果見なきゃ分からねぇ、そんなものは。よしと思ってやってることだから。自信のほどは財務局長に聞いてくれ」とけむに巻いた。
都は16日、来年度の都職員の定数を1739人減らすと発表した。学校や警視庁、東京消防庁の職員を合わせた職員定数は計16万5293人。07~09年度で計4000人を削減する目標だったが、来年度で計4006人の削減となり、目標を達成する。
また▽五輪招致本部に競技施設の国際コンペ実施に向けての「新施設建設準備室」を設置▽CO2(二酸化炭素)排出削減義務化に伴い、環境局に「総量削減課」を新設▽老朽化マンション増加対策として都市整備局に「マンション課」を置く--などの組織改正も行う。
都は16日、23区に代わって集めた地方税を配分する「都区財政調整制度」について、09年度の交付金総額が今年度比6・8%減の9474億円になるとの見通しを発表した。
前年度比減となるのは6年ぶりで、減少額(692億円)は過去最大。理由は企業収益悪化による市町村民税法人分の大幅減収という。
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◆産業・労働
・中小零細企業の資金繰り支援のため、地域の信用金庫や信用組合などを通じての金融支援(300億円)
・正社員として就職できず、非正規雇用で働く求職者を対象にセミナーを開くなど就職支援(9500万円)
◆環境
・温室効果ガス削減のため、オール電化住宅を購入したり、太陽光発電施設を設置する事業所にローン補助などを行う「エコ金融プロジェクト」(70億円)
・バス事業者がハイブリッドバスを購入する時にディーゼル車両との差額を補助(6000万円)
◆医療・福祉
・新型インフルエンザ対策として、都内1600の医療機関へ人工呼吸器や体温計などを整備(27億8200万円)
・周産期の救急患者に対応している周産期母子医療センターの負担を減らすため、比較的リスクの低い患者に対応する周産期連携病院を21カ所指定(3億300万円)
◆教育
・「モンスターペアレント」とのトラブル解決のため教員OBなどでつくる支援チームを創設(2800万円)
・区市町村対抗の中学生駅伝大会の開催やトップアスリートの学校派遣などスポーツ教育を推進(4億3400万円)
◆安全・安心
・インターネットや携帯電話での架空請求やいじめなどのトラブル相談窓口を設置(5000万円)
・集中豪雨対策として、道路に予備ポンプや進入禁止警告装置を設置(8億円)
毎日新聞 2009年1月17日 地方版