樹状細胞とは?
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:: 樹状細胞とは


「樹状細胞dendritic cell (DC)」は,樹状あるいは樹枝状の形態を呈する細胞に対する不特定の総称であったが,免疫学領域においては特異な形態・性状・機能を有する特定の細胞集団を包括する名称として用いられ,近年では免疫応答に必須な細胞系としてそれらの位置付けが広く確立されている.樹状細胞 (DC)の歴史は1973年Steinman & Cohnの報告に遡る(それ以前に既に濾胞樹状細胞follicular dendritic cellsに関連する記述がみられるが,当時「樹状細胞」という名称は適用されていなかった).1982年に,Tew, Thorbecke & Steinman は当時研究されていた各種樹状細胞の概念を整理・統合し,名称の統一を図るための試案を提唱した.これが今日用いられているDCの名称・分類の基礎となっているが,その後の研究の著しい進展で,あらたな概念の追加や名称の修正などが行われ,現在では表1に示すような種々の細胞が「樹状細胞系」に含まれるものと考えられている.
このうち,一般に「樹状細胞」といった場合には,骨髄系樹状細胞myeloid dendritic cell (MDC),形質細胞様樹状細胞plasmacytoid dendritic cell (pDC),指状嵌入細胞interdigitating cell (IDC),ランゲルハンス細胞Langerhans cell (LC),ヴェ−ル細胞veiled cell (VC),真皮内樹状細胞dermal dendritic cell (DDC),胚中心樹状細胞germinal center dendritic cell (GCDC)などがその対象となる.これらの細胞に共通する特徴としては,
@特有な細胞突起を有し,in vivo,in vitro双方で「樹状」の細胞形態を呈する,
Aリンパ組織のみならず広く全身に分布する,
B造血幹細胞を起源とする,
C抗原分子等のendocytosisやprocessingを示すものの単球・マクロファージ系の細胞で見られるような旺盛なphagocytic activityは見られない,
D強いMHC classII抗原の発現とそれを介してのT-細胞への強力な抗原提示能を有し(この点からこれらをT-細胞関連樹状細胞と呼称する場合もある),一次免疫反応を惹起しうる,などがあげられる.

尚,これら「樹状細胞」に対して,リンパ濾胞内に分布する濾胞樹状細胞follicular dendritic cell (FDC)は,やはり樹枝状の形態を示すものの,抗原分子のendocytosisやT-細胞への抗原提示能は認めず,異なった細胞系に属するものと考えられており,むしろリンパ濾胞の微小環境の維持,抗原抗体複合物の細胞表面への長期間の捕捉・保持,B-細胞への未処理抗原の提供などの機能が着目されている(この点からこれらをB-細胞関連樹状細胞と呼称する場合もある).FDCの細胞起源についてはまだ論議の途上であり,その分化・成熟過程についても充分な知見が得られていないが,造血幹細胞由来とする説とともにリンパ組織の間質に分布する細網細胞や血管内皮細胞などに起源を求める説が提唱されている.

 表1、樹状細胞の種類  
 
種類 分布
"樹状細胞"
T-細胞関連樹状細胞
骨髄系樹状細胞
myeloid dendritic cell (MDC)/DC1
全身に分布
  形質細胞様樹状細胞
Plasmacytoid dendritic cell
全身に分布
  ランゲルハンス細胞
Langerhans cell (LC)
表皮
  指状嵌入細胞
interdigitating cell (IDC)
リンパ節、脾臓、胸腺
  ヴェ−ル細胞veiled cell (VC) リンパ管内
  真皮内樹状細胞
dermal dendritic cell (DDC)
真皮
B-細胞関連樹状細胞 胚中心樹状細胞germinal center dendritic cell (GCDC) リンパ組織内の
リンパ濾胞(胚中心)
  濾胞樹状細胞
follicular dendritic cell (FDC)
リンパ組織内の
リンパ濾胞
  抗原担送細胞antigen-transporting cell (ATC) リンパ管あるいは
リンパ洞


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