県教委が進める県立高の一律共学化を巡り、方針見直しを求めて県内の教育関係NPO法人や同窓会役員らが提出した請願への対応が16日、県教育委員会で話し合われた。県教委事務局側は請願の不採択を提案したが、委員側は多数決によって事務局提案に反対。これを受け、小林伸一教育長が請願を採択する意向を表明したため、10年度までの実施が決まっている一律共学化のスケジュールが見直される可能性も出てきた。
請願は計4件あり、いずれも「男女別学高のあり方について十分な検討を」「一律共学化を直ちに凍結することを求める」などとしており、同日の県教育委員会でどのように取り扱うか協議された。
協議では主に、スケジュールの変更時に予想される混乱と、予定通り共学化を進めた際の混乱の比較が争点となった。委員からは「スケジュール変更はこれから受験する中学生に影響する。県民からの期待を裏切れば、深い不信感を持たれかねない」(小野寺征人委員)といった声や、「異性の前では自分の意見が言えず、高校時代は別学で学びたいという子もいる。社会へ出るための訓練の場として別学を残してもいい」(佐々木悦子委員)などの声が上がり、議論は平行線をたどった。
このため、小林教育長を含む教育委員6人は、請願への回答として事務局が作成した「現時点で一律共学化の方針を見直すべき決定的な理由はない」との案についてそれぞれ賛否を表明。大村虔一教育委員長ら3人が反対に回り、小林教育長が「一委員としての考えは、これまで事務局の責任者として述べてきたことと必ずしも同じではない」と説明したうえで意思表示を避けたため、3対2で反対意見が上回る結果となった。多数決を受けて小林教育長は「請願を採択しなければならない」と述べた。
県教委は今年4月に仙台三高を、10年4月に▽仙台一高▽宮城二女▽塩釜・塩釜女子▽白石・白石女子▽宮城三女--を共学化し、男女別学の県立高を廃止すると発表している。
請願の取り扱いは来月上旬までに開く予定の次回県教育委員会で改めて協議するといい、請願を採択する場合▽共学化のスケジュールを変更するのか▽変更する場合はどの学校を対象にするか--などが焦点となる。【青木純】
毎日新聞 2009年1月17日 地方版