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インフルエンザ:流行のAソ連型に「タミフル効かぬ」

 今冬流行しているインフルエンザAソ連型ウイルスの大半が治療薬タミフルが効かないタイプになっていることが16日、厚生労働省の調査で分かった。現在の患者の約3分の1がAソ連型という。昨冬で効かなかった割合は2.6%だった。急増の原因は不明だが、海外で出現した耐性ウイルスが上陸した恐れがある。厚労省は緊急の研究班を設置し、原因を探るとともに、治療指針を作成する。【関東晋慈】

 全国の地方衛生研究所のデータを、厚労省所管の国立感染症研究所が集計した。

 それによると、671人の患者のうち、A香港型がほぼ半分の303人、Aソ連型が約36%の243人、残りはB型の125人だった。また、国立感染症研究所が11都道府県のAソ連型患者35人から採取したウイルスを調べると、97%の34人でタミフルが効かなくなっていた。A香港型、B型で耐性化は確認されなかった。

 薬の使用に対し、ウイルスは生き残ろうと変化し、耐性化する。Aソ連型のタミフル耐性化は昨冬、欧州を中心に拡大し、ノルウェーで67%に上った。今冬には世界的に広がり、英米で9割以上で検出された。米疾病対策センター(CDC)は先月、吸入式治療薬のリレンザなどの併用を勧める緊急の治療指針を発表している。

 現在、タミフルは出現が懸念されている新型インフルエンザ治療薬として流通分も含め国内に2800万人分が備蓄されている。

 厚労省は「耐性はAソ連型に限定され、新型への対応を見直す必要はない。ワクチンは耐性ウイルスに効果があるとされ、リレンザで耐性化は認められていない。過剰に不安になる必要はなく、手洗いやうがいを徹底してほしい」としている。

毎日新聞 2009年1月16日 20時12分

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