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2009年1月17日

 神戸、中越、能登、岩手。震災の地を訪れて、それぞれの地で生々しい傷跡と被災者の強さを見た

地震で完成が遅れた明石大橋の橋脚上から眼下の震源地を望んだことがある。新潟では緊急停止したまま補強工事の進む原子炉を見た。ともに巨大な構造物である。それだけに大地震のすさまじさを思い知らされた

能登や岩手では押しつぶされた民家に胸ふさがれながらも、總持寺山門や中尊寺金色堂で強靱な匠の技に触れた。震災は、何百年と受け継いだ人間の創造力と、何年かに一度は地震に見舞われる日本の宿命の2つを浮き彫りにする

中越地方では、3年で2度被害を受けた地区があった。「これだけ痛い目に遭えば、しばらくは大丈夫だろう」との被災地の切ない思いは地底に届かない。が、柏崎ではその思いを抑え、万が一にと進めた耐震化工事で救われた企業を見た

「前の地震直後に次への備えをしなかったら今の工場はぺしゃんこだった」「防災への投資を無駄と思わないこと」と言うのだった。阪神大震災から14年。その間にも揺れ続く地震列島のこれが最大の教訓ではなかろうか。


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