"We sleep safely in our beds because rough men stand ready in the night to visit violence on those who would harm us." - George Orwell
2009-01-14
白燐弾の続き: D_Amonさんのエントリ
http://d.hatena.ne.jp/D_Amon/20090114/p1
ブックマークコメントにも書きましたが、100字制限があると語弊もありますのでこちらに詳しく書いておきますね。
まずid:D_Amonさんのエントリに反対している私は、白燐弾≠焼夷弾という認識を持っています。ですのでそういう認識の相手に向かって黄燐焼夷弾の説明((中央公論社版図解科学の第21号(昭和18年11月号)))を持ち出されても意味がないです。確かに戦前の書物であっても科学的性質および見解は変わらないはずですが、この文中では名称からして違いますし、また戦時中のアメリカ軍兵器の解説ということにも留意せねばなりません。たとえば戦時中では、原爆に対してマスク着用や白色の着物で防ぐことが出来るなどの言説も見受けられます。
また、こういう文章を元に性質をまとめるというのはおかしいです。前のエントリやブックマークコメントでkmiuraさんにU.S. Army Center for Health Promotion and Preventive Medicine Detailed Facts About White Phosphorous (218-24-1096)やAgency for Toxic Substances and Disease Registry (ATSDR), ”White Phosphorus: Health Effects” (PDF), Toxicological Profile Information Sheetをご提示いただけましたが、このような資料をもとに考えていくのが普通ではないかと思います。
主張
それに、「白燐弾に焼夷効果は無い」「白燐弾の対人使用はありえない」なんて主張しているひとはどこにいるのでしょうか。私の観測範囲では見受けられませんでした。そうではなくて、「白燐弾は焼夷弾ではない」「いまだ国際法違反にはなっていない」「白燐弾のガスは即効性の有毒ガスなのではない」ということを言いたかっただけなのです。デマって:
また非人道兵器の対人使用(ジュネーブ条約追加議定書)に該当し焼夷兵器の非合法使用(特定兵器禁止条約)にも部分該当しますが、アメリカはそれらの条約を批准していません。しかし、批准していないからといって違反にならないというわけではありません。対外的武力行使には相手が存在するからです。(例:第二次世界大戦時の日本はジュネーブ条約に調印はしていても批准はしていませんでしたが、戦後、捕虜の虐待により裁かれました)
ただ、この無差別殺戮の生存犠牲者と目撃者には明確な人道に対する罪として記憶されるでしょう。未だ裁かれない数多の米軍による無差別戦略爆撃と同じように。
ちなみに米軍は黄燐焼夷弾(白燐弾)の対人使用はジュネーブ条約違反と兵士に教え込んでおり、米軍が白燐弾をジュネーブ条約違反の兵器と認識していることには間違いありません。
白燐弾報道をデマとするデマに対して - 模型とキャラ弁の日記
ここのまた非人道兵器の対人使用(ジュネーブ条約追加議定書)に該当し焼夷兵器の非合法使用(特定兵器禁止条約)にも部分該当しますが
のような記述のことではありませんか? 非人道兵器〜はともかく、焼夷兵器の非合法使用(特定兵器禁止条約)にはまったく該当しません。白燐弾は焼夷弾ではありませんから。また『戦争における「人殺し」の心理学』から引用されていますが、やはり記述は黄燐焼夷弾
に対してですし、あの本の著者は大学で教えているだけで、米軍人が米軍について書いた情報
とはなりません*1。
一番言いたいこと
白燐弾は焼夷兵器→非人道的→規制なんて回りくどい主張をする必要はないです。白燐弾→非人道的な側面がある→規制でいいんです。どうして:
本来は焼夷兵器に対する規制だけで十分なのに焼夷兵器の内で白燐弾のみを個別に明示的に禁止する条約を作る必要があるとすれば、そういう白々しいエクスキューズを用いて焼夷兵器としての使用を正当化しようとする国々があるからというものです。
白燐弾報道をデマとするデマに対して - 模型とキャラ弁の日記
のようにならないかといえば、上のような(白燐弾は焼夷兵器→非人道的→規制)という主張をされているかたが多いからではないでしょうか? これでは第一段階の話で止まってしまい規制まで話しがいかないのですよ。また戦争に関する法律では、拡大解釈が必要になることはないと思います。そんなことになったら、むしろ都合の良い解釈をもとにした逸脱行為が一般化してしまいますから。
*1:実際の資料は上に挙げました
- 118 http://b.hatena.ne.jp/entry/http://d.hatena.ne.jp/wiseler/20090113/p1
- 95 http://d.hatena.ne.jp/D_Amon/20090114/p1
- 63 http://d.hatena.ne.jp/D_Amon/
- 47 http://b.hatena.ne.jp/entry/http://d.hatena.ne.jp/D_Amon/20090114/p1
- 35 http://b.hatena.ne.jp/entry/http://b.hatena.ne.jp/entry/http://d.hatena.ne.jp/D_Amon/20090114/p1
- 26 http://d.hatena.ne.jp/mojimoji/20090115/p1
- 23 http://b.hatena.ne.jp/entrylist
- 14 http://d.hatena.ne.jp/kmiura/
- 12 http://d.hatena.ne.jp/D_Amon/20090114/p2
- 11 http://b.hatena.ne.jp/entrylist?sort=hot&url=http://d.hatena.ne.jp/
- 2009-01-15 モジモジ君の日記。みたいな。 4/52 7%
名称が違うのは訳語の問題ですね。
直訳すれば黄燐弾なり白燐弾のところを訳語では機能の説明が付け足されているわけです。
同文で発煙弾という言葉が使われていることから分かるように、アメリカが機能において煙幕弾兼焼夷弾の黄燐弾にそういう名前をつけるのは昔からのことです。
>「白燐弾に焼夷効果は無い」「白燐弾の対人使用はありえない」なんて主張しているひとはどこにいるのでしょうか。私の観測範囲では見受けられませんでした。
現時点のWikipedia日本語版には「焼夷効果は持っていない」と書いてありますよ。
http://anond.hatelabo.jp/20070602032025に「軍オタのいう「対人使用なんてありえない」ってのは」と書いてありますよ。
>やはり記述は"黄燐焼夷弾"に対してですし、
白燐弾も黄燐焼夷弾もWhite Phosphorus Bombの訳語で、英文では同じものです。
>あの本の著者は大学で教えているだけで、"米軍人が米軍について書いた情報"とはなりません
グロスマンの経歴は「米国陸軍に23年間奉職。陸軍中佐。レンジャー部隊・落下傘部隊資格取得。ウエスト・ポイント陸軍士官学校心理学・軍事社会学教授、アーカンソー州立大学軍事学教授を歴任。98年に退役」なわけで超のつくベテランだと思いますよ。
>白燐弾は焼夷兵器→非人道的→規制なんて回りくどい主張をする必要はないです。白燐弾→非人道的な側面がある→規制でいいんです
率直に聞きたいのですが、wiselerさんにとって白燐弾の非人道的な被害はどうやってもたらされるものなのですか?
そういう風に言っておいて焼夷効果とか言わないですよね。
まず私のスタンスを理解していただきたいのですが、白燐弾≠焼夷弾であり、とうぜん白燐弾≠黄燐焼夷弾と思っています。焼夷弾の主成分を黄燐に変えた黄燐焼夷弾と、発煙目的で白燐を燃焼させる白燐弾の二つは根本的に異なるというのが私の理解です。焼夷弾の構造と白燐弾の構造は少し違います。例えば線香から煙は出ますが、線香にふれても火傷はします。ライターとは違いますよね。
> 現時点のWikipedia日本語版には「焼夷効果は持っていない」と書いてありますよ。
http://anond.hatelabo.jp/20070602032025に「軍オタのいう「対人使用なんてありえない」ってのは」と書いてありますよ。
ご紹介ありがとうございます。Wikipediaも増田もみていませんでした。Wikipediaには確かにそう書いてありますが、本文を詳しく見ると
>http://ja.wikipedia.org/wiki/白燐弾>
白リンを充填した砲弾の歴史は第一次世界大戦以前まで遡れるとされる。発煙弾や照明弾、焼夷弾に使用する目的で開発された。現代でも普通に使用される兵器であるが、焼夷弾としては(手榴弾を除き)ほとんど使用されていない。
<<
と書いてありますので、ちゃんとみればある程度の焼夷・殺傷効果をもつことは読み取れるのではないでしょうか。まあそれ以前のこのページの記述には疑問点が色々見受けられますね。
増田も見ましたが、これは「白燐弾より銃弾うちこめ」という主張ではないですかね。「対人使用なんてありえない」というそのままの文意ではないと思います。
> 白燐弾も黄燐焼夷弾もWhite Phosphorus Bombの訳語で、英文では同じものです。
黄燐焼夷弾は焼夷弾なので、英文だとIncendiary bomb/deviceではないですかね。http://en.wikipedia.org/wiki/Incendiary_deviceを見れば主成分にwhite phosphorusがあると書かれており、リンク先にはhttp://en.wikipedia.org/wiki/White_phosphorus_incendiaryのほかに応用ではないhttp://en.wikipedia.org/wiki/Allotropes_of_phosphorus#White_phosphorusの記述がありました。この記事名の付け方を見るとやはりこの二つは別物ではないでしょうか。
> グロスマンの経歴は「米国陸軍に23年間奉職。陸軍中佐。レンジャー部隊・落下傘部隊資格取得。ウエスト・ポイント陸軍士官学校心理学・軍事社会学教授、アーカンソー州立大学軍事学教授を歴任。98年に退役」なわけで超のつくベテランだと思いますよ。
氏が白燐弾についてのマニュアルを作成していたわけでは(恐らく)ないのでは? という意味です。氏が戦争心理学の専門家であることには間違いないですが、白燐弾についてはどうでしょう。
> 率直に聞きたいのですが、wiselerさんにとって白燐弾の非人道的な被害はどうやってもたらされるものなのですか?
そういう風に言っておいて焼夷効果とか言わないですよね。
私は白燐弾に焼夷効果がないなんて一度も書いてませんよ。どうやってとは、白燐が発火中に人体に触れると相当なダメージを皮膚にもたらすという解釈でよろしいですか? 確か2度の火傷になるかならない程度だったと思います。発煙目的の白燐弾が非人道的と言うには十分なはずです。
黄リンと白リンに関しては大学の無機化学の教科書をみればどれでも書いてあると思いますがたとえば
http://www005.upp.so-net.ne.jp/barkhorn/home21.HTM
などを参照されるとよいと思います。白リンの純度が低く、赤リンが混在しているとやや黄色くみえるのでそのように呼ばれる。いずれにしろ発火点などはほぼ同じと考えて間違いないでしょう。
あとシバレイさんの二年ほど前の記事のコメント欄をみかけました。トピックはほぼ同じです。
参照になるかもしれません。
http://reishiva.exblog.jp/3797471/
黄燐と白燐は同じものと考えていいものですよ。厳密に言えば黄燐を精製したのが白燐ですけど、殆ど同じものとして扱われています。例えばhttp://www.inv.co.jp/~yoshi/doku-g/doku.htmlでは黄燐の説明で別名を白燐としていますね。日本語での白燐弾・黄燐焼夷弾・黄燐煙幕弾とかの記述は訳語の問題で、英文では同じWhite Phosphorus Bombです。
>この二つは別物ではないでしょうか。
http://assist.daps.dla.mil/quicksearch/basic_profile.cfm?ident_number=8250
を読んでもらえば分かると思いますが、白燐が充填された煙幕弾の説明に煙幕兼焼夷弾と書いてありますね。
White Phosphorus Bombは燃える白燐の破片を爆発でばら撒く煙幕兼焼夷弾で英語圏ではそういう誤解の余地は無いのですが、日本語だと訳語の関係でそういう誤解がされてしまうのかもしれません。
>氏が戦争心理学の専門家であることには間違いないですが、白燐弾についてはどうでしょう。
氏は著書で「<ジュネーヴ条約と黄燐焼夷弾>の話は、私もフォート・ベニングで聞いている。士官候補生学校での大砲の射角に関する講義でも、歩兵将校基本コースでも、レンジャー養成校でも、そして歩兵迫撃砲小隊将校コースでも聞かされた」と書かれていますね。彼は米軍人として米軍で繰り返し<ジュネーヴ条約と黄燐焼夷弾>について学習しているわけで、それを兵器としてどう扱うべきかは米軍兵士が教え込まれる知識として程度には知っていたと言えるでしょうね。
これが米軍人が米軍について書いた情報であることに間違いは無い筈ですよ。
>私は白燐弾に焼夷効果がないなんて一度も書いてませんよ。どうやってとは、白燐が発火中に人体に触れると相当なダメージを皮膚にもたらすという解釈でよろしいですか?確か2度の火傷になるかならない程度だったと思います。発煙目的の白燐弾が非人道的と言うには十分なはずです。
つまり焼夷効果で非人道的な被害を与える兵器なものの焼夷効果は付随的なので焼夷兵器ではないと。
焼夷効果で人を焼くために使用しても焼夷弾ではないと。
そういう風に解釈しているという理解でよろしいでしょうか。
> 白燐弾も黄燐焼夷弾もWhite Phosphorus Bombの訳語で、英文では同じものです。
なぜ日本語では分かれるのか? というのを調べると、分けた意図が見えてきそうです。ぼく自身は現在詳細に突っ込むリソースがないので、これは「予想」ですけれども。
# kmiuraさん
> 結局、発煙だから人道的であるというレトリックに対してどう反論するかということなのでしょうね。実際に今回市民に被害が出ているわけだし。
まあどちらかというと、どんな兵器でもイスラエルがガザなどの地域で発射した時点で市民に被害がおよんでしまうのが問題であると思っています。自衛隊も白燐弾を所有使用していますが、こちらは非人道的というほど問題になるとは思えません。
# D_Amonさん
> 黄燐と白燐は同じものと考えていいものですよ。厳密に言えば黄燐を精製したのが白燐ですけど、殆ど同じものとして扱われています。例えばhttp://www.inv.co.jp/~yoshi/doku-g/doku.htmlでは黄燐の説明で別名を白燐としていますね。日本語での白燐弾・黄燐焼夷弾・黄燐煙幕弾とかの記述は訳語の問題で、英文では同じWhite Phosphorus Bombです。
> http://assist.daps.dla.mil/quicksearch/basic_profile.cfm?ident_number=8250
を読んでもらえば分かると思いますが、白燐が充填された煙幕弾の説明に煙幕兼焼夷弾と書いてありますね。
White Phosphorus Bombは燃える白燐の破片を爆発でばら撒く煙幕兼焼夷弾で英語圏ではそういう誤解の余地は無いのですが、日本語だと訳語の関係でそういう誤解がされてしまうのかもしれません。
すいません、資料で使用されている名称をもとに書いてしまったので焼夷弾では黄燐、白燐弾では白燐という言葉遣いをしています。おっしゃるとおり似た様なものです。ところで、上に書きましたとおり私は白燐弾≠焼夷弾という認識を持っていますので、白燐弾=黄燐焼夷弾とは認識していません。
ちょうど良い画像があったので引用します。
-http://www.n-buturi.co.jp/service/burying/dangerous/M691.jpg (こっちが焼夷弾)
http://www.n-buturi.co.jp/service/burying/dangerous/500bunkai.jpg (焼夷弾の射出メカニズム)
-http://www.fas.org/man/dod-101/sys/land/m825a1_usafas.jpg (こちらが白燐弾)
見ての通り、例え使用している成分が同じく白燐(黄燐)であったとしても、構造設計からして異なる別の兵器です。とまあ、このように考えていますので、D_Amonさんのおっしゃる黄燐焼夷弾=白燐弾の考えで記述されている資料か何かがございましたらご提示いただけないでしょうか。ここのところだけ私とD_Amonさんで話がすれ違っているようなので。
> 氏は著書で「<ジュネーヴ条約と黄燐焼夷弾>の話は、私もフォート・ベニングで聞いている。士官候補生学校での大砲の射角に関する講義でも、歩兵将校基本コースでも、レンジャー養成校でも、そして歩兵迫撃砲小隊将校コースでも聞かされた」と書かれていますね。彼は米軍人として米軍で繰り返し<ジュネーヴ条約と黄燐焼夷弾>について学習しているわけで、それを兵器としてどう扱うべきかは米軍兵士が教え込まれる知識として程度には知っていたと言えるでしょうね。
これが米軍人が米軍について書いた情報であることに間違いは無い筈ですよ。
それは『戦争における「人殺し」の心理学』p. 327-328 第27章の冒頭の文章ですよね。サブタイトルとして"問「正義は銃身から生まれるか」"と"回等「私がこの手で撃ち殺す」"と書いてあるとおり、残虐行為に対しての倫理観を説明するための小話ではないでしょうか。そしてその前後に、とくにこの黄燐焼夷弾が白燐弾であるような説明はありません。黄燐焼夷弾は焼夷弾ですから、ジュネーヴ条約で禁止されていますし、いかなる対人使用も法律違反であることは当然です。
> つまり焼夷効果で非人道的な被害を与える兵器なものの焼夷効果は付随的なので焼夷兵器ではないと。
焼夷効果で人を焼くために使用しても焼夷弾ではないと。
そういう風に解釈しているという理解でよろしいでしょうか。
はい、発煙を一義とする設計の白燐弾は法律上焼夷兵器には該当しませんので、使用目的に関係なく焼夷弾ではありません。解釈ではなくて、法律の定義なので仕方ないのです。
# y_arimさん
> あるものを指して国によって表現が異なるってのはよくある話。で、そういうのは時に「政治的な理由」からだったりする。これはそういう話なんではないかと理解しました。
> 白燐弾も黄燐焼夷弾もWhite Phosphorus Bombの訳語で、英文では同じものです。
なぜ日本語では分かれるのか? というのを調べると、分けた意図が見えてきそうです。ぼく自身は現在詳細に突っ込むリソースがないので、これは「予想」ですけれども。
もちろんそういうことは多々あるのですが、私の立場として、上に書いたとおり白燐弾が同様の事例に該当するとは思えません。なぜ日本語で英語と違うように分かれているかは良く知りませんが、空襲などで黄燐焼夷弾を目の当たりにしている方が大勢いると思いますので、そこら辺の印象もあいまって他の焼夷弾や同様の物質を使用している白燐弾と区別しているのではないでしょうか。
>「白燐弾の対人使用はありえない」
なにか「OOはなかった」みたいな話になっていますが、イスラエル軍がレバノンでの白燐弾対人使用を認めるまではこんなこという人はウジャウジャいました。それこそウンザリするほどに。
M69は油脂焼夷弾ですよ。図にもナパーム剤と書いてあるでしょうに。見て分からなかったのですか?構造設計の比較にこれらを持ち出したということは、つまりwiselerさんが何も分かっていないことの表明にしかなりません。
>D_Amonさんのおっしゃる黄燐焼夷弾=白燐弾の考えで記述されている資料か何かがございましたらご提示いただけないでしょうか。
例えば、下記URLですかね。
http://www10.ocn.ne.jp/~kuushuu/m308.html
「M47A2 100ポンド黄燐焼夷弾」となってますね。
これはM47A2の容器を利用した白燐弾なわけですが、「中小都市空襲」という本では同じものが白燐弾と訳されていますよ。
白燐弾報道を否定しているここでも紹介されているのが面白いですね。
http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq08f02j.html
M47に関しては下記URLのPDFファイルがそれなりに詳しいです。
http://www.swf.usace.army.mil/pubdata/fuds/5points/documents/asr/appendixc.pdf
白燐を用いた「煙幕弾」(煙幕兼焼夷用)を日本では黄燐焼夷弾と呼んでいたわけです。私が引用した図解科学第21号の記述(wiselerさんは読んだ筈)で米軍のWP発煙弾を黄燐焼夷弾と呼んでいることからも分かっていただけるかなと思います。
米軍で白燐煙幕弾(WP Smoke)と呼ぶ兵器が日本で黄燐焼夷弾と呼ぶ兵器だったことが同じ兵器をさす複数の訳語がある原因の一つといったところです。
炸薬の爆発で燃える燐片をばらまく煙幕兼焼夷兵器にどう名づけたかというだけで、両者は同じものですよ。
こういうことは米軍がどういう装備をしていて、それらをどう呼んでいて、資料や書籍が日本語に訳される際にどういう訳語が使われてきたか原文と和訳の比較で知っていれば同じものをさす別の言葉と分かるのですが、とりあえず、米軍の装備を見てwiselerさんが考える黄燐焼夷弾に相当するものを米軍が装備していたか調べられる資料を提示してみますね。納得いかないなら調べてみてください。
米軍の過去からの弾薬はこのページから調べられます。
http://www.globalsecurity.org/military/systems/munitions/index.html
今回は砲弾などの弾薬が対象になるのでこのページから調べます。
http://www.globalsecurity.org/military/systems/munitions/ammo.htm
砲撃に使う砲弾でしたら、Artillery Projectilesのところの、例えば下記URLの155mm砲弾(榴弾含む)のところとかから、WPの焼夷弾を見つけられたらwiseler氏の推測した意見が正しいことになります。口径は例として示しただけですから、もちろん別の砲弾(榴弾含む)から探してもらって構いません。
http://www.globalsecurity.org/military/systems/munitions/155.htm
大した手間ではないのでwiseler氏の考えるところの黄燐焼夷弾が見つかるか探してみてください。
逆に見つからなければwiseler氏の推測した意見は正しくないということになります。
http://www.globalsecurity.org/military/systems/munitions/m416.htm
M416のような煙幕兼焼夷用とかしか見つからない場合、WP Bomb=白燐弾=黄燐弾で「煙幕弾」という名前でも煙幕と焼夷の両用兵器であり、訳語が黄燐焼夷弾になることもあるということを認めていただければなと思います。
後、参考までにカナダ軍が白燐弾を焼夷兵器として使用した報道の魚拓のURLも貼っておきます。
http://megalodon.jp/?url=http://www.excite.co.jp/News/odd/00081160789467.html&date=20061015143722
>はい、発煙を一義とする設計の白燐弾は法律上焼夷兵器には該当しませんので、使用目的に関係なく焼夷弾ではありません。解釈ではなくて、法律の定義なので仕方ないのです。
実態として煙幕と焼夷の両用である白燐弾を「煙幕弾であり焼夷効果は付随的なものだから条約上の焼夷兵器ではない」と白々しい言い訳をしているのが問題なんですけどね。
で、そういう白々しい言い訳を条約の抜け道として認めてしまうと焼夷兵器禁止条約が形骸化してしまうわけで、そうなる方がよっぽど望ましくないことだと私は思いますよ。