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【コラム】

中日春秋

2009年1月17日

 世界不況も大変だが、いろんな業界が若者の<○○離れ>に頭を痛めているようだ

▼たとえば<クルマ離れ>。二〇〇七年の日経流通新聞による若者意識調査によれば、二十代で「乗用車に興味がある」と答えた人は53・5%。二〇〇〇年の調査から実に20ポイント以上も下がっている。さらに三人に一人以上が酒を「まったく飲まない」か「ほとんど飲まない」と回答。<酒離れ>である

▼周囲の若者を眺めてみても<煙草(たばこ)離れ><マージャン離れ>は明白だし、人ごとではなく、<活字離れ>も言われている。そして、これは<恋愛離れ>と呼ぶべきか、同紙の昨年の同様の調査によれば、異性との付き合いも三割近くが「面倒・わずらわしい」と

▼最近の若い書き手の作品について、作家の池澤夏樹さんが本紙で語っていたことともつながる。<アパートで暮らし、インターネットで遊んで、ご近所を一回りして、コンビニで物をかってくる。女の子とくっつくようでくっつかない、そんな話が延々と続く>。ほかに加えるなら携帯電話か

▼クルマ、酒、恋愛、本、煙草、マージャン…。こう並べれば、実におじさん世代の青春そのもの。彼らは今、各業界の中枢にあって、自分が若き日に惹(ひ)かれたものに惹かれない若者を惹きつけるという難事に挑んでいる

▼単なる世代の断絶とは違う気がする。不況より難題かもしれない。

 

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