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備える:帰宅困難者対策/4 「ステーション」で水や情報提供

「災害時帰宅支援ステーション」のステッカーを張っているコンビニエンスストア。飲み水やトイレを提供してくれる=大阪市中央区で
「災害時帰宅支援ステーション」のステッカーを張っているコンビニエンスストア。飲み水やトイレを提供してくれる=大阪市中央区で

 大地震など大規模災害で交通機関が途絶した時、徒歩で自宅を目指す「帰宅困難者」に飲料水や情報などを提供する「帰宅支援ステーション」。その役割を担ってもらうため、コンビニエンスストアやガソリンスタンドなどと協定を結ぶ自治体が増えている。

 首都直下地震が発生すると、約390万人の帰宅困難者が出ると想定される東京都。近隣自治体と協力するなどして、▽都立学校約240カ所▽ガソリンスタンド約800カ所▽コンビニ約5600カ所▽ファミリーレストランなど約240カ所--を帰宅支援ステーションとして確保している。支援が円滑に行われるよう運営ガイドラインを作成中で、ステーションに指定された都立学校への連絡手段も確保した。日本赤十字社東京都支部も、応急手当てなどを行う帰宅困難者支援所(赤十字エイドステーション)を11カ所設けることにしている。

 指定されたコンビニなどには、ステーションであることを示すステッカーが張られ、帰宅困難者に水道水やトイレを提供する。ラジオなどで得た通行可能な道路や、避難場所に関する情報なども伝える。協定では「自治体から支援の要請を受けた場合、可能な範囲で帰宅困難者を支援する」と定め、通信途絶などで要請を行えない場合には要請を待たず支援を実施できるとしている。

 だが、実際に機能するかは未知数だ。昨年1月に新宿区の職場への徒歩参集訓練に参加した男性は「出勤経路にある37カ所のコンビニの店員に帰宅支援ステーションのステッカーの意味を聞いたところ、知っていたのは10カ所しかなかった」と話す。

 また、「ステッカーを張っている場所が分からない」との声や、「パニックになるから(店を)開けたくない店も出てくるのでは」といった指摘もある。

 東京都の赤木宏行・震災対策担当課長は「何店かでもステーションがあれば、帰宅困難者は助かる。しかし、被災して営業を続けられなくなった店に『開けてくれ』とは言えない。過剰な期待はせず、まずは自分の身は自分で守ることを意識してほしい」と話す。【樋岡徹也】=つづく

毎日新聞 2009年1月14日 東京朝刊

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