都予算案、周産期医療対策に22億円
東京都は1月16日、来年度予算の原案を公表した。昨年10月、妊婦が都立墨東病院を含む8医療機関から受け入れを断られた後に同病院に搬送され、その後死亡した問題などを受けて、周産期医療対策に22億900万円を計上している。
【関連記事】
相次ぐ妊婦の受け入れ不能−2008年重大ニュース(10)「救急医療“崩壊”」
都立墨東病院のNICUを3床増床
患者受け入れ調整で「地域救急センター」設置へ―東京都
厚労省案Vs民主党案―周産期救急改善案
7割の総合周産期センターで母体救急受け入れ断った経験
原案では周産期医療対策に、今年度当初の8億7000万円から約13億円増の22億900万円が充てられている。
特に、生命にかかわる重篤な状態で、周産期の分野だけでは対応できない妊婦の搬送を必ず受け入れる「母体救命対応の総合周産期母子医療センター」(仮称)の創設に1億7500万円を計上した。同センターは、昭和大病院(品川区)、日本赤十字医療センター(渋谷区)、日大板橋病院(板橋区)の3か所に開設される予定。
また、休日・夜間のミドルリスク患者の妊産婦の緊急搬送受け入れ体制を確保するため、周産期連携病院の創設に3億300万円を計上した。
「生命・健康を脅かす危機への対応」については、新型インフルエンザ対策に今年度当初の14億5500万円を大幅に上回る171億9300万円が充てられている。医療物資の確保や医療体制の整備などにより、大流行の危険性がある新型インフルエンザから都民の生命を守る取り組みを進めるとしており、全都道府県で初めて作成される新型インフルエンザが流行した際に行政機能を維持するための事業継続計画(BCP)の策定に900万円を計上している。
また、救急搬送・救急医療体制の充実に83億3400万円が充てられている。具体的には、二次救急医療機関の機能と連携の強化に向け、患者の受け入れ調整などを行う「東京都地域救急センター」(仮称)を、都内に12ある二次医療圏内にそれぞれ2か所設置するため4億2600万円を計上。また、受け入れ医療機関や一時受け入れ後の転送先の調整などを行う「救急患者受け入れコーディネーター」を東京消防庁司令室などに配置するため、7200万円が充てられている。
同日、記者会見した石原慎太郎都知事は「世界的な金融危機の影響が深刻化し、将来の展望が描けない閉塞(へいそく)感と、先行きの見えない不透明感から、都民、特に小零細企業の不安は日増しに高まるばかり」と指摘した上で、「こうした時だからこそ、都は委縮することなく、自らのなすべき役割を確実に果たすという力強いメッセージを発信していくことが重要だ。都民に安心をもたらし、希望を指し示す予算とすることを基本として予算編成に当たった」と強調した。
更新:2009/01/16 21:24 キャリアブレイン
新着記事
- 口座振替は月内に手続きを 65歳以上の保険料 ...(2009/01/17 00:00)
- レセプト請求電子化は違憲 「営業侵害」医師ら ...(2009/01/17 00:00)
- 妊産婦の死亡率3百倍 先進国に比べ、後発途上 ...(2009/01/17 00:00)
PR
記事を検索
CBニュース会員登録メリット
気になるワードの記事お知らせ機能やスクラップブックなど会員限定サービスが使えます。
一緒に登録!CBネットで希望通りの転職を
プロがあなたの転職をサポートする転職支援サービスや専用ツールで病院からスカウトされる機能を使って転職を成功させませんか?
【第45回】泊慶明さん(市立池田病院急病・救急総合診療科医長) 「救急初期診療の現場では、一見、軽症かと思われる患者さんが、実は重症だったというケースにしばしば遭遇する。短時間の診療で、適切に『重症』患者を見抜くことが求められる」―。このように指摘し、重症患者を見極めるノウハウを記した医師のブログ ...
医師不足が深刻化している地域やへき地の医療を支援するため、昨年7月に国が創設した「緊急臨時的医師派遣システム」。北海道や青森県など、これまで全国の6道県の医療機関に医師を派遣し、地域医療の緊急的な救済に成果を上げている。厚生労働省からの委託を受け、全国から医師を公募している社団法人「地域医療振興協 ...
WEEKLY
アクセスランキング
ランキングがバージョンアップ!
週間・日間ランキングの他に、スクラップ数ランキングやみんなの感想ランキングが新しく登場!!
>>ランキング一覧はこちら