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政府(厚労省他)


薬害でPMDA職員の権限をどうするか

 厚生労働省の「薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」(座長=寺野彰・独協医科大学長)の第9回会合が1月15日に開かれ、研究班がまとめた報告書イメージと事務局が整理した論点を中心に議論を行った。委員からは、薬害における独立行政法人「医薬品医療機器総合機構(PMDA)」の権限について多くの意見が出た。

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 報告書イメージを説明した研究班の堀内龍也班長(日本病院薬剤師会会長)は、水口真寿美委員(弁護士)が要望していた患者の被害や偏見の検証について、昨年12月から班会議で議論を始めたことを明らかにした。班会議には、薬害専門家の片平洌彦・東洋大教授が研究協力者として加わったとしている。

 提言取りまとめのために事務局が整理した論点は、(1)薬害肝炎事件の経過から抽出される問題点(2)これまでの主な制度改正等の経過(3)薬害再発防止のための医薬品行政等の見直し―の3点で構成。(3)では、市販後の安全対策の中で、副作用情報の本人への伝達や情報公開の在り方について、「感染リスクの高い生物由来製品については、医療機関や企業で記録を保存しておくだけでなく、患者本人が使用された製剤名やロットを知って自らも記録を保存しておくことができるような方策を検討すべきではないか」など3つの論点を事務局が新たに示した。

■PMDA職員以外の増員も必要
 厚労省の2009年度予算案に盛り込まれたPMDA職員の100人増員について、泉祐子委員(薬害肝炎全国原告団)は、同委員会で検討した増員に関する内容が事務局の論点にないのではないかと指摘。さらに、「07年にPMDAが出した書類の中に、きちんとした(増員に関する)資料がある。これをどうして、事務局は委員会に出さなかったのか」と事務局側に質問した。
 これに対して、事務局は「指摘いただいたのは新薬の承認・審査要員をどのように増員するかということで、07−09年の3か年計画で増員することが決まっていたので、それが書かれているのだと思う」と説明。その上で、「中間取りまとめに至る過程で、PMDAが出した資料を意図的ではないが、出さなかったことは謝りたいと思う」と述べた。

 しかし、泉委員は「ここには承認審査と安全対策、両方の業務に関して書かれている。なぜ、同じ議論に委員会の大切な時間が使われたのか」と追及。さらに、「究極的には、薬害の監視システムが必要だ。(薬の)安全性が認められない場合には止めるような人員をどのように配置するのか。そこまで踏まえないと、薬害はなくならない」と訴えた。

 花井十伍委員(「ネットワーク医療と人権」理事)は、「中間取りまとめでは、PMDAだけ増員すればいいとわたしたちは考えていなかった。日本の場合、コントロールする部分は本省(厚労省)に置いているのだから、本省の人員も30人ぐらい増えていないとおかしい」と指摘。これに対して厚労省側は、「本省は4人の増員が認められている。そのうち、安全対策課は1人となっている」と答えた。

 森嶌昭夫座長代理(日本気候政策センター理事長)は、「PMDAの職員は国家公務員ではないと思うが、その人たちが企業なり医療機関に出掛けて処方をストップする権限を持っているのか。公務員なら薬事法を変えればできるが、公務員以外の人が権限を持つかどうかは分からない。次回までに整理してほしい」と事務局に求めた。

 次回の会合は2月27日に開かれる予定。


更新:2009/01/15 22:17   キャリアブレイン

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