バッグや靴に生まれ変わる豚
革製品はオシャレの必須アイテム。でも動物の「皮」を「革素材」にするには、まず加工する必要があります。とはいえ、いったいどんな作業をするのでしょう? 東京・墨田区の荒川沿いに工場を構える山口産業株式会社を訪ねました。
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原材料となる豚皮は関東近県の市場などから一日約600枚納入されます。
出迎えてくれたのは山口さん。「私たちがつくっているピッグスキンは、国内で唯一原皮を100%自給自足できる革。全国の生産量の約8割が、ここ東京・墨田区にある10社ほどで製造されているんですよ」
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“なめす”は英語でtan。そのため業者をタンナーと呼んでいます。
入荷した豚の皮を、まずはカシの木でできた直径4メートルの回転ドラムの中へ。「毛を溶かし、脂を取ってから、皮が腐らないように“なめし”という作業を行います。植物の樹皮から採れたタンニンを使う方法と、薬品のクロームを使う方法があるんですよ」
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なめし工程は約1週間。染色、乾燥させて革素材になるまで約2週間かかります。
なめされた革は、厚みをそろえるシェービングという作業を経て染色ドラムで染色。スプーン1杯程度の染料で染まる薄い色から、数キログラムが必要となる濃い色までさまざま。「季節や天候により微妙にサジ加減を変え、お客さまが希望される色を出せるようになるまでに10年はかかります」。うーん、豚皮の道は一日してならずですねぇ。