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「ミネルバ」現象が起こった理由(下)

 延世大学社会学科の柳錫春(ユ・ソクチュン)教授は、「米国や日本では一般人が実名を明かさずに文章を公開しても、誰も信頼を置かない。しかし韓国での今回の現象は、集団的な催眠にでもかかったかのようだ。『PD手帳』(MBC)という一つのテレビ番組を通して、誰もが米国産牛肉を口にすると狂牛病(牛海綿状脳症〈BSE〉)にかかると信じ込んでしまったのと同じことだ」と述べた。

 現代経済研究院で産業戦略本部長を務める兪炳圭(ユ・ビョンギュ)氏は、「1997年のアジア通貨危機当時、経済学者や官僚などの専門家が危機を予測できなかったという事実を市民ははっきりと覚えている。そのため経済が困難な状況に陥ると、経済の専門家集団による分析よりも在野の悲観論の方に関心が集まり、それが影響力を持つようになる」「米国にも影響力のあるブロガーは存在するが、彼らはそのほとんどが実名を使って他人と公開の場で討論を行う。この点が韓国とは異なる」と説明した。

 今回のミネルバ現象が韓国社会全体にとって大きな負担材料になっているようだ。大手企業で常務を務めるある人物は、「消費者が政府による政策に信頼を置かなくなれば、景気の変動に伴って合理的に消費しなくなり、流言飛語に惑わされて財布のヒモを緩めるべきときにも金を使わなくなる」「不信感が広まった社会の消費者を相手に企業活動を行うのは、2倍のエネルギーが必要だ」と嘆く。

 問題は「第2のミネルバ現象がいつ起きてもおかしくない」という点だ。今もミネルバの言葉を信じる人たちは多い。ある投資銀行に勤務するソンさん(27)は、「ミネルバが書いた内容は、経済学を専攻して金融業界に身を置いた経験がなければ到底書けないようなレベルだ。今回逮捕された人物は、ミネルバ本人ではないと思う」と述べた。

チョン・ヒョンソク記者

パク・スチャン記者

ピョン・ヒウォン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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