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「ミネルバ」現象が起こった理由(上)

 ネット上で李明博(イ・ミョンバク)政権の経済政策を批判した「ミネルバ」の正体が一般にも広く知られるようになった8日、市民はミネルバ個人に対する失望の思いを語る一方で、ミネルバに惑わされた韓国社会への自嘲も口にするなど、さまざまな反応を示している。予言を行う人物と、それを信じる人間は常に存在するものだが、今回のように韓国社会全体が混乱に陥ったこと自体が衝撃的だったということだ。

 「政府への不信が“ミネルバ現象”を呼び起こした」と多くの市民は語る。会計士のカンさん(31)は、「李明博政権の経済見通しが相次いで外れるのに、ミネルバの予言は的中するのだから、“姜万洙(カン・マンス)企画財政部長官よりはましだ”と言われるのも当然だ。ネットユーザーの間では李明博政権に対する反感があるため、それが影響してミネルバに熱中したのだろう」と語る。

 専門家はさまざまな論理を展開してミネルバ現象を説明しようとしているが、いずれにしても「政府への信頼喪失」が根本的な原因であるという点では一致している。

 延世大学心理学科の黄相旻(ファン・サンミン)教授は、「ミネルバが書いた文章そのものよりも、その人物が文章を書いたその時点で、サイバー空間で活動するネットユーザーたちが“何を信じたかったのか”という点が重要だ」とコメントした。現実の世界では政府の予測がことごとく外れていることから、仮想の世界では政府とは反対の意見を主張する人物に対し、大衆は信頼を置くようになるということだ。

 ソウル大学社会学科の宋虎根(ソン・ホグン)教授は、「ある意見に対する関心が失われると、それとは異なった意見に全体が関心を示すようになる。これは韓国のネット文化特有の現象だが、それが今回も起こった有様だ」と解釈した。

チョン・ヒョンソク記者

パク・スチャン記者

ピョン・ヒウォン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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