日本の高校に通う外国籍の生徒計10人が昨年5〜9月、海外への修学旅行から帰国した際、成田、関西両空港の入国管理局に、誤って指紋と顔写真をとられていたことが法務省の調べでわかった。テロ対策強化で07年11月から16歳以上の外国人に個人識別情報の提供が義務づけられたが、修学旅行生は教育的配慮から免除されるはずだった。
両入管はミスを認め、データを削除して本人に手紙で謝罪。法務省は再発防止のため、システムや規則の見直しをした。
法務省によると、東京入国管理局成田空港支局で神奈川、埼玉、福島の計3校の生徒3人が、大阪入国管理局関西空港支局で大阪と奈良の計4校の生徒7人が指紋と顔写真を誤ってとられていた。
関西空港支局では昨年9月、大阪市内の府立高校の中国籍と韓国籍の女子生徒2人が、日本人の生徒と韓国への修学旅行から帰国した際に誤採取された。2人は免除対象であることを示す用紙をパスポートに挟んで提示したが、審査官が見落とした。その後の同支局の調べで、ほかに大阪と奈良の3校5人からの誤採取も発覚。法務省が全国調査をし、成田空港支局のミスも判明した。
個人識別情報の提供は、07年11月の入管法改正で、在日韓国・朝鮮人ら特別永住者などを除く16歳以上の外国人に義務付けられた。しかし、修学旅行生は昨年4月から、学校が事前に対象の生徒の名簿を提出し、所定の用紙を入国審査の際に提示すれば、免除されるようになっていた。
法務省はミスを受け昨年11月、免除対象となった生徒のパスポートを入国審査時に読み取り機にかざすと、指紋と顔写真をとるボタンが押せなくなるようシステムを修正。同12月には入管法施行規則を改め、海外への修学旅行から帰国した外国籍の高校生らを免除対象者と明記した。(千種辰弥)