クイーンズランド(QLD)州政府が、水道水にフッ素の添加を始めた。
おもな理由は、ご存知の方も多いと思うが「虫歯の予防」である。ブリスベン周辺は2008年12月の末から、QLD州全体としては2012年までに95%の市民がフッ素入りの水を飲むことになる。
このニュースを聞いていろいろな文献を調べてみると、オーストラリアはどうやらフッ素水の先進国のようである。オーストラリアの大きな州都市の中でもブリスベンだけがフッ素水を利用していなかったということもわかった。
フッ素水の反対派、推進派があるようで、細かい内容は専門に調べて意見を述べている文献をみていただきたいと思う。私個人としてはこの処置に反対である。
薬学、毒性学や生化学などを学んだものとして意見を言うと、フッ素は薬物である。大量投与ではもちろん中毒を起こすが、フッ素水として利用される小容量も体内でかなりの量が蓄積される。さらに、水道に添加されるフッ素の濃度に近い低容量から人体に毒性をもたらすことも調べられている。人によって薬物に対する感受性が非常に違うために、使用量は医者の処方せんをつけてもらいたいような代物である。
歯の虫歯予防として使用する理由は口の中でのフッ素の作用を述べているだけで、体に吸収され蓄積されるものについては、軽視されているような気がしてならない。
QLD州が水道水のフッ素添加に合意したのは、QLDの子供の虫歯率がほかの州に比べて高いからだ。フッ素添加だけでそんなに虫歯が予防できるのであれば文句はない。しかし、フッ素が添加されても虫歯がなくなるわけではない。そんなことよりももっと大事なことは「口腔衛生の教育」の徹底だと私は思う。虫歯も病気の一つであるから、それに対して処置をせずに全身投薬を生涯にわたって続けるなんて本末転倒ではないか。
QLDは暑いので、水の摂取も多い。自然界に存在するフッ素は野菜にも含まれるので、どのように摂取量を把握できるのだろうか。
親の保護が必要な年齢の子の歯を守るのは、親の正しい知識と努力が一番大切だと思う。
マックフェイル佐奈絵さん プロフィール
1965年生まれ。大卒後、獣医として東京の動物病院で働いていたが、2000年にオーストラリア人の夫と出会い結婚。2001年5月、長女を出産した。同年12月にオーストラリア・ブリスベーンに移住し、2003年6月にこの地で次女の出産を経験した。2児の母になり忙しさは増したが、子どものおかげで初対面の人との英会話もスムーズに運び、自分自身の活動範囲も広がりつつある。
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2009年1月15日