福岡県筑前町の中学2年、森啓祐君(当時13歳)がいじめを苦に自殺して11日で丸2年。遺族が求めた人権侵犯調査記録の大半を福岡法務局が黒塗り状態で開示したことについて、法務省は一部を追加開示すると決め、内閣府を通じて遺族に知らせた。遺族は「啓祐の命日の前日に、一歩前進する通知が届いた」と喜んだ。
福岡法務局は昨年5月、森君への人権侵害があったとして当時の校長や1年時の担任に反省を促す「説示」の措置をとった。両親は調査記録の開示を請求したが、同11月に開示された資料のほとんどが「今後の調査に支障がある」として黒塗りだった。このため両親は「わが子の死についての情報を親が知ることができないのはおかしい」と同12月、行政不服審査法に基づき、法相に審査請求書を提出していた。
法務省が内閣府情報公開・個人情報保護審査会に伝えた開示内容は、法務局が作成した事件処理報告書の一部や、担任教諭への説示文、教育委員への要請文の一部など。
母美加さん(38)は「中身を見るまでどの程度私たちの知りたいことが開示されるか分からないが、法務省が一歩前進しようとする姿勢はうれしい」と評価した。【高橋咲子】
毎日新聞 2008年10月11日 西部朝刊