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【王家の教え】(下)“古き友”との関係大切に 子を思い親を敬う (1/2ページ)
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東京・目黒区の閑静な住宅街に、ソフトバンク・王貞治最高顧問の自宅がある。建て替えてすでに20年余。以前の家の表札にはこう書かれていた。
「z.z.Wang」
王貞治を英語表記すると「zhen(ツゥウェン)zhi(ツゥィ),Wang(ワン)」。そこに王さんの誇りと存在感があるように思えた。父・仕福さんの祖国を敬い、自身が日本で生まれ育って暮らすことの強い意志…。自己が環境や時間の変化にかかわらず、存在するというアイデンティティー(存在意義)であろう。
台湾籍
以前、担当記者の一人が国政選挙の日に「王さん、選挙行ったんですか?」とつい聞いてしまった。「オレには選挙権、ないよ」と笑った。誰よりも日本人らしく生きているが、台湾籍である。昭和36年、巨人が海外キャンプを張るためにパスポートが必要になった。父は中国浙江省出身、王さんは日本で生まれ、どちらともゆかりはないが、日本と国交があった中華民国(台湾)を選んだ。それ以来、何度も訪ねて熱烈な歓迎を受け、友もできた。国際情勢の変化によって国交がない状態になったが、訪台は続いた。
昭和50年のオフに「王貞治球場」の落成式に招待され、微妙な国際関係に断念させられたことがあったが、“古き友人”との関係を絶つことはなかった。平成14年5月、日本のプロ野球が海外で初の公式戦を行った。ダイエー監督だった王さんは、その地として台湾を選んだ。そして今月20日から6日間の日程で馬英九総統に表敬訪問、「台湾のプロ野球も20周年を迎えるし、これまで大きな応援を受けてきた。台湾の友人の方々を訪ねて旧交を温めたい」。12月上旬、台湾メディアにこう話していた。