「すわ発病、まずは病院へ」はダメ--。昨夏に県が行った新型インフルエンザ県民意識調査で、ほとんどの人が誤った認識を持っていることが分かった。正しい対応の「保健所に相談して指示を仰ぐ」を選んだのはわずか11%。危機感を覚えた県は昨年末から、チラシ「家庭でできる新型インフルエンザ対策」を医療機関や市町村窓口、保健所に配布し、大々的に啓発し始めた。【梅山崇】
感染者がいきなり病院に行けば、そこで感染爆発を引き起こす恐れがあるから、自重が必要。しかし、見殺しにはされず、県は、新型インフルエンザが流行した場合、県内40~50院に専門の「発熱外来」を設置。感染の疑いがある人から相談を受けた保健所が、これらの病院に事前連絡。病院は他の患者と隔離する態勢をつくったうえで受け入れる。いきなり来院する人がないよう、事前に病院名は広報されない。
調査は08年8月、県政モニター185人に実施し、回答したのは133人。「新型インフルエンザにかかったと思う場合、治療してもらうためにどう対処しますか」の質問に対し、最多は「かかりつけ医を受診」で55%。以下、「最寄りの医療機関」19%、「総合病院」15%と続き、正答率は11%。
「最低2週間分の食料・日用品備蓄」との県の呼び掛けについても、「知っている」は24%。今後の対応でも「既に備蓄」は10%、「これから備蓄」も54%止まり。「非正規労働者のため生活費がギリギリで無理」「本当に必要か分からないのに備蓄する余力はない」など抵抗感をうかがわせた。
流行すれば終息まで8週間かかると言われ、「2週間備蓄」の根拠は必ずしも明確ではないが、「災害は忘れたころに…」。用心には用心を重ねるにこしたことはないようだ。
毎日新聞 2009年1月15日 地方版