【講演要旨】
Ⅰ. 核燃料サイクル施設の概要
上流
1.01ウラン鉱山
1.02精錬
1.03転換(天然六フッ化ウランガス、56.5℃でガス化)
1.04輸送容器(吸着された天然六フッ化ウラン、たとえば、トレーラーによる48Yシリンダー輸送)(海外より海上輸送)
1.05濃縮(天然ないし濃縮六フッ化ウランガス、発生槽(暖めてガス化して遠心分離器に供給)・製品回収槽(冷却して気体から固体にして回収)・均質槽(温めて液体にして均質化後に気体))
日本原燃等
1.06輸送容器(吸着された濃縮六フッ化ウランガス、たとえば、トレーラーによる輸送用保護容器付30Bシリンダー輸送)(海外より海上輸送あるいは国内陸上輸送)
1.07再転換・成型加工(濃縮ウラン溶液あるいは濃縮二酸化ウラン酸化物)
三菱原子燃料・原子燃料工業・GNF等
1.08新燃料輸送容器(燃料集合体のトラック輸送)(国内陸上輸送)
下流
1.10軽水炉炉心
電力会社等
1.11新燃料貯蔵
電力会社等
1.12使用済み燃料貯蔵
電力会社・日本原燃等
1.13使用済み燃料輸送容器(TN型・EXCELLO型・HZ型使用済み燃料輸送容器。高さ9mからの落下試験・高さ1mからの突起物上への落下試験・800℃30min.耐火試験・15m水深で8hの浸漬試験)(海上輸送)
原燃輸送等
1.14使用済み燃料中間貯蔵
電力会社等
1.15核燃料再処理
日本原燃等
1.16プルトニウム(MOX)燃料加工(英・仏・ベルギーからのMOX燃料の海上輸送)
原子力機構・日本原燃等
1.17低レベル・高レベル放射性廃棄物貯蔵(国内海上輸送、英仏からの返還廃棄物の海上輸送)
日本原燃等
Ⅱ. 核的制限値(ANSI/ANS 57.2-1983等)
使用済み燃料貯蔵施設の設計基準(検査・核的制限値・水位維持による放射線遮蔽・自然循環・崩壊熱除去・水温維持(66℃以下)・高燃焼度燃料・タービンミサイル対策・地震対策(水面のスロッシング)・強風対策等)。
世界各国が採用している核的制限値
(1)米国 keff≦0.95 Regulatory Guide 1.13 Appendix A
(2)米国 keff≦0.95 "Standard Review Plan" NUREG-75/087, Sec 9.1.2 Spent Fuel Storage
(3)米国 keff≦0.95-0.98 ANSI/ANS-57.2-1983(keff≦0.98の場合には解析手法の妥当性が検証されていることが条件になる)
(4)IAEA keff≦0.95 IAEA Safety Guide
(5)西独 keff≦0.95 KTA-3602
(6)日本 ベンチマーク実験解析で評価した推定臨界下限値(実際にはさらに安全ゆうどを考慮する)以下か解析手法の妥当性が検証されている場合にはkeff≦0.95)
Ⅲ. 安全解析の考え方
核燃料の水没を想定した核的に保守的な計算条件。
計算コード
(1)新燃料輸送容器 安全審査専用計算コードSCALE(臨界専用連続エネルギーモンテカルロ計算コードKENO-Va)
(2)新燃料貯蔵庫 炉心設計コード(PWR, BWR)
(3)炉心 炉心設計コード、二次元から三次元へ(PWR, BWR)
(4)使用済み燃料貯蔵プール 炉心設計コード(PWR, BWR)
(5)使用済み燃料輸送容器 安全審査専用計算コードSCALE(臨界専用連続エネルギーモンテカルロ計算コードKENO-Va)
(6)六ヶ所再処理施設 燃料貯蔵施設に対しては炉心設計コード(PWR, BWR)、その他の施設に対してはJACS
原子力基盤機構でのクロスチェックでは連続エネルギーモンテカルロ計算コードMCNPとMVP
Ⅳ. 新燃料体系
4.1ウラン濃縮施設(keff≦0.95)
4.2ウラン加工施設(keff≦0.95)
4.3新燃料輸送容器(keff≦0.95)
4.4原発新燃料保管庫(keff≦0.95,ただし最適減速条件の時keff≦0.98)
(二次元計算は、水平方向集合体無限配列、垂直方向燃料棒無限長に対応するバックリング考慮。形状管理、排水溝を設ける、消火栓は設けない。)
Ⅴ. 使用済み燃料体系
5.1軽水炉炉心(keff≦0.95)
5.2原発や再処理施設の使用済み燃料貯蔵プール(keff≦0.95 for BWR, keff≦0.98 for PWR, ただし、六ヶ所再処理プールkeff≦0.95)
(Asクラス、形状管理、ステンレスライニング、漏水防止、プール底に排水溝は設けない、プール上部に配管等を設ける。PWRの場合、保守的評価のために、可燃性毒物を無視した新燃料(濃縮度分布なし)を想定、プール水の2000ppmのホウ酸水も無視、水密度最大、寸法公差最大。BWRの場合、保守的評価のために、ガドリクレジット採用(ガドリ燃焼にともないkeffにピークが生じること)、水密度最大、寸法公差最大。PWRとBWRともに二次元計算は、水平方向集合体無限配列、垂直方向燃料棒無限長に対応するバックリング考慮。)
5..3使用済み燃料輸送容器(keff≦0.95)
5.4中間貯蔵施設(keff≦0.95)
5.5再処理施設
5.5.1受け入れ工程(keff≦0.95)
(燃焼度モニター・部分的燃焼度クレジット。)
5.5.2せん断工程(keff≦0.95)
5.5.3溶解工程(keff≦0.95)
5.5.4分離工程(keff≦0.95)
5.5.5精製工程(keff≦0.95)
5.5.6脱硝・転換工程(keff≦0.95)
5.5.7製品貯蔵工程(keff≦0.95)
6.6プルトニウム(MOX)燃料加工施設)(keff≦0.95)
(質量管理・形状寸法管理・乾式工程・輸送容器は冷却フィンや空冷機能。)
Ⅵ. 課題
6.1keff≦0.95の物理的根拠。
6.2臨界時と未臨界時の中性子エネルギースペクトルの差のkeffへの影響。
6.3臨界固有値計算における線源サイクル相関誤差の考慮(あまり大きくない、最近のMCNP-5では指導的に計算される)。
6.4臨界固有値計算における中性子断面積の共分散誤差の考慮(臨界時に3σで約1ドルと推定され、意外と大きい)。
6.5未臨界ベンチマーク実験解析から未臨界度の評価法の可能性の検討。
文献
(1)日本原燃株式会社会社案内
(2)原子力機構組織・業務案内
(3)原子力機構核燃料サイクル研究所
(4)原子力機構プルトニウム燃料技術開発センターとMOX燃料
(5)子力学会「最適モンテカルロ計算法」研究専門委員会議事録(日本原子力学会誌と学会HPに公開済み)
(6)子力学会「未臨界実験データ評価」研究専門委員会議事録(日本原子力学会誌と学会HPに公開済み)