会見するジャーナリストの草薙厚子氏=14日午後、奈良市、新井義顕撮影
奈良県田原本町の医師宅放火殺人事件をめぐる供述調書漏出事件の14日の公判で、証人として奈良地裁に出廷した調書引用本の著者・草薙厚子氏(44)は同日午後、「引用は(出版元の)講談社の編集者からの提案だった」と証言した。
草薙氏は、問題となった本「僕はパパを殺すことに決めた」が調書を大量に引用する形になった経緯などを説明。「自分が決められるわけではない。講談社の編集者から『読者の手に取ってもらうために、事実経過を説明するのがよい』と調書引用を提案された」と述べ、講談社側の意向に従ったと述べた。
調書の内容を漏らしたとして秘密漏示の罪に問われている鑑定医の崎浜盛三(もりみつ)被告(51)に事前に原稿を見せなかった理由を問われると「(同医師に)意見を聞くかどうかは、私には委ねられていない」と強調。「出版については、もっと慎重になるべきだった」とも述べた。
崎浜医師が逮捕・起訴されたことについては「供述調書は複数の人が持っているので、情報源が特定されるとは思わなかった」と話した。
草薙氏の証言について、講談社広報室は「コメントは控えたい。(出版にいたる経緯などについての見解の違いについては)草薙氏なりの考えがあっての発言だと思う」としている。今月27日には、講談社内で唯一、本の出版に反対したとされる元週刊現代編集長が証人として出廷する。