寺崎 修 (てらさき おさむ) | |||||||||||
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寺崎先生から2年生の皆様へ (第二回入ゼミパンフレットより) |
私の研究会では、主として明治維新以降、現代に至るまでの間の政治思想や政治運動を素材に、日本政治について、さまざまな角度から検討を加えています。 ところで歴史研究、なかでも日本政治を対象とする歴史研究というと、過去の確定した事象や既存の政治思想を学習するだけのものと理解している人が多いようですが、日本政治研究の現場は、そんなに生易しいものではありません。新しい史料の出現によって不透明な部分が解明されたり、史料の再解釈によって、学説が変動することは、日常茶飯事といわねばならないからです。確かに日本政治は、私たちにとって最も身近な存在であり、誰でも簡単に接近することができる研究分野といえますが、ジャーナリスティックな興味をこえて、アカデミックな研究に挑戦しようとするならば、史料収集の方法、史料の読み方、史料批判の方法、分析と立証の方法、歴史的評価のあり方など、一定の手法を体得することがどうしても必要となります。本研究会では、近代日本の政治思想や政治運動を歴史的にアプローチする立場から、まずは、このような手法を一日も早く身につけることをめざします。 入会の条件としては、毎週火曜日午後に行われる研究会や、春・夏の合宿などゼミの行事に確実に出席することが求められますが、いかなるサークルに属していても上記の条件を満たす限り、不利な扱いを受けることはありません。けれども、研究会と他のサークルの「両立」は、必ずしも容易なことではなく、ゼミ生活を継続するためには、相応の努力と覚悟が必要であることはいうまでもありません。私としては、何よりも歴史好きで、本研究会の活動に積極的に参加してくれる諸君の入会を希望しています。 研究会の場では、基本文献の輪読、討議が行われますが、そればかりでなく、各人の卒業論文の中間報告の場ともなります。いうまでもなく卒業論文の作成は、ゼミ生個々に課せられる最大の試練ですが、これは研究会の一員である以上、どうしても越えなければならないハードルです。まして、求められる水準を越える論文を作成するためには、多大の労力と地道な努力を要しますが、それだけにこれが完成したときは、何物にもかえることのできない喜びを体験することになります。学問研究が先行研究に対する絶え間ない批判を通じてはじめて前進することを思えば、研究会の場で批判されることは、決して恥ずかしいことではありません。むしろそのような場で鍛えられた知的経験こそは、諸君の生涯の財産となるはずだからです。 なお、卒論のテーマは、思想史、運動史に属するものを基本としますが、広く歴史研究に属するものならば、各自の選択するテーマをできるかぎり尊重するつもりです。 |
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