吉野: このモジュール1個で、どの程度の発電が可能ですか? |
近藤: 15W発電できます。これは例えば、携帯電話が6台充電できたり、持ち運びのできる小さな液晶テレビが5台動くといった電力に匹敵します。またモジュール2個で小型パソコンを駆動することも可能です。
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吉野: では、複数つなげれば、さらに大きなものを駆動させられるのでしょうか? |
近藤:はい、例えば自動車がその最たる例です。ガソリン車というのは、その持っているエネルギーの約20%が走るための動力として使われていて、残りの約80%は排熱として大気に放出してしまっています。そういった現状の中で、ご存知の通り、今自動車は、パワーウインドやパワーステアリングなどと電化が進んでいます。そして、更に車内へサーバーを積んで付加価値を与える予定もあるようです。ますます電気を使う方向にあるのですが、車に搭載している発電機は走りに影響が出るため、そう大きくもできないと聞いています。このようなことから、現状では捨てている熱を使って発電を、という発想になりました。エンジンに近い排気管の部分にモジュールを取り付け、そこから電気を取り出すシステムとなります。 |
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吉野:なるほど、車内でのエンターテイメントを始めとする様々な利便性を高めることに、このモジュールが大きな役割を果たしてくれるようになるわけですね。 |
近藤:そうです。今、流行っているハイブリッドカーはその典型と言えるでしょう。街中では主に車が自ら起こした電気で走り、高速道路や山を登る時はエンジンで走るわけですからね。
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吉野:環境に優しい車が、この技術で、もっと優しくなるわけですね。その他の使用例は? |
近藤:モジュールを貼り付けたバケツに水を入れ、それを下から火であぶると、電気が出来ますので、先ほど言った事と同様に、液晶テレビを見たりラジオを聴くことができます。野外での活用はもちろん、自家発電をしている東南アジアなど発展途上国でも大いに活用頂けると思います。
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吉野:そうですね、海外での需要もかなりのものになりそうです。最後に、今後掲げている目標をお聞かせください。 |
近藤:最終ターゲットは原子力発電所での利用です。現在は立地問題で悩まされており、新しい原発を建設できない状況です。そうは言っても、作らないわけにはいきません。ではどうしたらよいかと考えた時、原子炉に必要な電気を作り出すタービンに焦点を当てました。タービンはとても大きくコストも手間もかかるものです。これを無くすことができれば、と。そこで原子炉の中に、このモジュールを入れ、そこから直接、熱を採取して電気にすることでタービンは不要になると行き着いたのです。これが実現すれば、今より省スペースになり、数倍の原子炉が設置可能となるでしょう。これを究極の目標としています。

吉野:今はまだ従来のスタイルが固定されているので、やはり、そこまで確立させるには年月がかかりそうですか?

近藤:そうですね、性能アップも必要ですが、許認可をとるのにもとても時間がかかると思います。きっと実現している頃には、この世にはもういないかと思いますけれどね(笑)。でも、そこにたどり着くまでの間に、みなさんにも身近に使っていただいて、その良さを実感していただければと思っています。
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吉野:そうですね。環境に優しい技術は、これからの私たちにとって必要不可欠なものですからね。これからの市場展開や動向を興味深く見守って行きたいと思います。今日はどうもありがとうございました。 |