ロンドンのThe Times紙が昨日(米国時間1/11)の記事で、Googleで一回検索するたびに7グラムのCO2が環境に排出されると報じてWeb上を騒がせた。7グラムといえば、やかんでお湯を沸かすときに出る量の半分だそうだ(ウッソー!)。ぼくはその記事を、大げさすぎるし偏った見方だと批判した。Googleも、その記事の主張を実質的に非難する声明を出した。
このお話の中心人物はAlex Wissner-Grossという若い物理学者だ。記事によると彼は、“Googleで二回検索するとお茶一杯ぶんのお湯をやかんで沸かすのと同じぐらいのエネルギーを消費する”と言った。まさにこの、いかにもキャッチーな文章に、世界中の記者たちがまんまと食いついて、世界中のメディアから何百という記事がばらまかれたのだ。
でもWissner-Gross本人は、そんなことを言った覚えはないと言っている。まず第一に、自分はものごとの測度としてお茶と関係のあるものを持ち出すはずがない(コーヒーしか飲まないから)。また、Googleなど特定の企業の問題は一言(ひとこと)も言っていない。自分が取り上げたのは、パソコンでWebをサーフィンするときどれぐらいCO2が生成されるだろうかという、あくまでも一般的な話題だ。
Wissner-Gross曰く、1検索あたり7グラムという、世界中に広まってしまった説は、どこか別の出典だ(自分はそれを知らない)。記事をよく読めば分かるが、それは、自分のデータをなんとなくほのめかしているだけだ(明言はしていない)。彼は次のことを確認した: たしかにGoogleの名を挙げたことはある。たとえば“Googleの検索ももちろん環境に影響を与えている”、とか“Googleは世界中で巨大なデータセンターを動かしているからその電力消費量も大きい”など。でも至る所で繰り返された、やかんでお湯を沸かす云々の話は、まったく述べていない。あの誤解を招きそうな記事を読んだあとWissner-GrossはThe Timesに電話をして、日曜日の朝刊に訂正記事を載せるという確約を取った。しかし訂正記事は載っていない。
The Timesの記事でもう一つ気になるのは、Wissner-Grossの会社であるCO2Statsを正しく紹介していないことだ。同社は企業による再生可能エネルギーの購入を支援し、それによる環境負荷の中和効果に対して”Green Certified(仮訳:緑の証明書)”バッジを与えて、企業のホームページへの表示をすすめている。この問題では利害の対立もありえるわけだから、記事は Wissner-Grossと企業との関係をもっとはっきり明記すべきだった。実際は、かすかな言及しかない。Wissner-GrossはCO2Statsの目的とそこでの彼の役割を説明したと言っているが、The Times紙と記者たちはそのほとんどを無視した。だからこの点でも、非はThe Timesにある。
記事は間違いだったが、でもWissner-Grossは騒動をうまく利用したと言える。彼はその日の大半を、新聞、ラジオ、テレビなどからのインタビューに応じて過ごし、そのたびにCO2Stats社の名前を広めたはずだ(グリーンIT運動への関心も高めただろう)。
The Timesの誤報事件は、ついこの前にもあった。11月の終わりごろ同紙は、YahooとMicrosoftの間の複雑な架空の契約話を、まるで事実のように誤報した。
[原文へ]
(翻訳:hiwa)
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