2008-02-20 21:09:45
ジョロウグモ
テーマ:ブログハルは光子が恐ろしかった
車の中で 絵本を読んでいたら 光子の運転が荒く 気持ち悪くなった 車中でゲロを吐いた
ゲロを吐いた途端 ハルを 光子は
信じられない あたしの世界を・・・・・・よくも・・・こんな・・・・
そんな涙の声が伝わるような瞳で凝視した
その直後 物凄い剣幕の金切り声が襲い掛かってきて ハルは 凍りついた
「 あんた 何やってんの 汚いじゃない 吐くなら どうして窓を開けて吐かないの
誰が 掃除すると思ってるの ! 後であんたに手で拾わせてひとつひとつ掃除させるからね 」
助手席の父親は そんな光子に怒られてるハルを 庇いもせず
半ば諦めと同情の入り混じった視線で一瞥しただけだった
ハルが 家でゲロをしても天地をひっくり返すような 落雷の声が響き渡ってきた
「 床にゲロをするな 汚いだろ するなら外でしろ 」
言われたとおり 今度は気持ち悪くなると庭に駆け込み ゲロをした
「 箒で掃けないじゃない 匂うし近所迷惑になるじゃない どうして人の迷惑を考えないの
庭でゲロを拾うの大変なのに どうして水道とかでしないのよ 流せるじゃない 」
まるでゴキブリか何かを連想して語られてるようだった
近所に迷惑になるくらい 庭と隣家が近いわけでもなかった
数週間後 その言葉を思い出して 気持ち悪くなったハルは 言われたとおり 水道の流し台に よっこいせとよじ登った
水槽を覗き込むと
そこで安心してゲロを吐けた
黄色い さっき食べた野菜やジャガイモの塊が 見える吐しゃ物だった
水を飲もうと蛇口をひねると それがとうとうと水で流れていく 流れていくその部分が たちまちその屑野菜などで覆われた
そんなハルに
光子は またも罵声を浴びせた 数週間前の言いつけどおりに従ったハルだったのに
「 なんで流しでゲロをするの 流しが詰まって とりにくいでしょ
ああいうのは トイレに行って吐くんだ 今度から便器で吐け 」
この時は 尻を叩かれた
それからハルは ゲロをしたい時 よくトイレに向かう様になった
ハルがまだ3歳の頃だった
銀座のホステスたちはストレスがたまっている
生理的に気持ちの悪い 赤ら顔の親父たちに
本当なら触るのも 息をかぐのも嫌なその男たちに
ニコニコしながら 近づかいていかなければならない
大嫌い と心の奥底で唱えながら 好きよ と甘く語りかけねばならないのだ
心の中で この禿 キモイし うざいんだ 近寄るんじゃねえ
こう叫びながら 自分から禿親父に手を絡め 頬を寄せあって こう囁く
「今日はありがとうね 着てくれて
本当に嬉しかった 楽しかった
貴方が来ると 落ち込んでいたんだけどとても元気になるの
また支えてね 」
こう囁いた後 階段の影で店の他の女の子達に見えないように 口づけを軽く交わすのだ
勿論 親父たちは 軽い口付けではおさめようとはしない
顔を押し付けるようにし 唇をこじ開け ヤニ臭い舌を無理矢理ねじ込んでくる
その時 女たちは 感覚を麻痺させるのだ
自分で 心の麻酔を打ち 耐え難い苦痛を感じないようにするのだ
でも麻酔はいつか薄れてくる
効果がなくなると 心に激しい痛みが蘇ってくる
その時 その痛みを与える世界と男達に 物凄い憎しみを抱くようになった
麻酔を打ち より大きく溜まっていた分 より大きく黒き念となって
光子と 基次が出会ったのは そんな銀座の街の片隅だった
時は昭和30年代
オリンピックの下準備に向けて 石畳や泥や雑草が所々生い残る 街をコンクリートで
装い新たにする為に あちこちを掘り返していた時の事だった
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