インドネシア保健省とWHOのバトルについては、当ブログでも何度か取り上げてきましたが、大臣の個人的?発言に注目が集まってきています。
その報道内容については、外岡先生のサイトに詳細な訳がアップされているので、まずはそちらをご覧ください↓http://homepage3.nifty.com/sank/jyouhou/BIRDFLU/2008/Indonesia%20mum%20over%20bird%20fluStraits%20Times.pdf
この中で衆目をひくのが要約、「新型インフルエンザは米国の陰謀である。裕福な国家(まあ、前後の文脈からみて米国と判断するのが妥当でしょう)がウイルスをつくり、途上国にばらまく。そしてワクチンの販路開拓〜」のあたりかと思います。
この文脈、”いつか来た道”です。そう、SARS騒動の03年、「SARSコロナウイルスは生物兵器説」なるものがまことしやかに流れました。誌名は覚えていないのですが、日本の雑誌でそのSARS生物兵器説を活字にしちゃった所もあったはず。生物”兵器”としての元々の持ち主もA国軍、B国軍・・いくつかあったような気がします。
この種の話は「わかりやすい」「犯人が明確に指定される」「ぞくぞく面白い」といった条件を満たします。だから一般社会に”ウケて”どんどん広まる。 さらに、”犯人”が政治的に敵とみなされる存在のものだったら、火に油・・ 危ない危ない。
思い出すのが、SARSの次の年、中国では日本脳炎の流行がありました。当時日中関係は最悪の時期。あの雰囲気下で日本脳炎、日本脳炎と新聞の見出しに踊ったら、日本がつくった疫病で・・と人民の眼は厳しさを増し・・という事態を懸念したのですが、何らかの配慮が働いたのか乙型脳炎という病名で流通したのでちょっとほっとした記憶があります。
インドネシアの大臣発言も、民衆の間にさらに尾ひれがついて広がり、ナショナリズムの火が点火して・・なんて展開にならないことを心より祈る次第です
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