弘前通信部の近くにある禅林街。約400年前、曹洞宗の33カ寺が集められて構築された。見事な杉並木を挟んで、道路両側にずらりと並ぶ寺院は静寂な雰囲気を醸し出している。
夜ともなれば、簡素な街路灯がともす鈍いオレンジ色が禅林街にマッチする。ところが、黒門をくぐり抜けて正面の長勝寺に近づくと、異様な光を放つ物体がある。その正体は、長勝寺正面の三門(さんもん)脇にある4台の清涼飲料水の自動販売機。三門内に安置されている仁王像も目をむいているのではないか。
寺院外に設置されたものだが、何ともつや消しの妖光だ。昨年末には長勝寺本堂が建設当時の姿に復元されたというのに、日中でも禅林街散策を楽しむ観光客には無粋な存在に映るだろう。(塚)
毎日新聞 2009年1月14日 地方版