インフルエンザの流行が今年も始まった。地域の流行を把握するため、諫早医師会では03年から医療機関の協力を得て、独自の「流行調査」をしている。
「おの小児科」(諫早市宇都町)の小野靖彦医師(54)は「的確な診断と、効率の良い治療には流行調査が必要」と語る。調査方法は、来院患者が所属する学校や職場、発症日時などを記した調査票を医師会事務局でまとめて、データ処理し、翌朝に各医療機関に送付する。
この調査は、予防への一助にもなる。おの小児科では、インフルエンザ患者が通う学校の児童が発熱などの症状で来院した場合、待合室で他の患者に感染しないよう、できる限り駐車場と直結した別室で治療する。小野医師は「事前の情報があれば医療機関も対策が取れる」と指摘する。
これまでの調査で、罹患(りかん)者の60%前後を15歳以下が占め、児童が罹患しやすいことが判明。このため、05年から、生後6カ月~6歳の乳幼児に対する予防接種費用の半額を諫早市が負担することにもつながった。
諫早市の人口は14万人で、データの集積と解析ができる規模なのも幸いしている。同市はインフルエンザ予防接種者の台帳も整備しており医師会では市と協力し、台帳と調査結果を基に、予防効果の研究を更に深めていく計画だ。【柳瀬成一郎】(次回は28日掲載)
毎日新聞 2009年1月14日 地方版