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無保険者をなくし、患者負担を2割へ−医団連

 「世界的な不況で雇用情勢の悪化など生活が厳しさを増す中、国民の命や健康を守るには、選挙目当ての『定額給付金』のばらまきではなく、実効性ある経済対策が緊急に求められている」として、医療団体連絡会議(医団連)は1月14日、東京都内で記者会見し、無保険者の解消と患者の窓口負担の2割への引き下げを柱にした「景気悪化から国民の健康を守る緊急提言」を発表した。医団連では同日、衆参両院の国会議員などに要請活動も行った。

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 提言では、無保険者の問題について「医療費の窓口負担が原則3割になった2003年以降、受診抑制が深刻化している」と指摘。国民健康保険料の滞納で保険証が取り上げられ、医療機関の窓口で医療費を全額負担しなければならない「資格証明書(資格証)」の発行世帯が33万を超える中、受診手控えで死に至る事例も全国で多発していることを挙げ、▽資格証の発行をやめ、滞納の原因である高額な保険料を引き下げる▽(世界的な不況で)一方的に解雇されて仕事や住居を奪われた人や、「ネットカフェ難民」など無保険状態の人に、受診機会を保障する▽窓口負担を2割に引き下げる−などを求めている。

 また、「後期高齢者医療制度」について、従来の老人保健制度では、75歳以上の高齢者には『資格証』を発行しないことになっていたが、「後期高齢者医療制度」では、保険料の1年以上の滞納者に「資格証」の発行が義務付けられている問題を取り上げた。提言では、今年4月には「資格証」が発行される後期高齢者が約20万人に上るとの推計を踏まえ、▽同制度を廃止する▽在るべき高齢者医療について、あらためて国民的な議論を進め、高齢者が安心して受けられる医療制度をつくる−などの必要性を訴えている。

 さらに、相次ぐ救急の“受け入れ不能”や医師・看護師不足による地域医療の危機について、「30年近く続けられた医療費抑制政策が原因で、02年からは社会保障費が1兆6200億円も削減されている」と批判。また、今年4月から介護報酬を3%引き上げる改定案を厚生労働省の社会保障審議会が舛添要一厚労相に答申したことについて、「介護職員の低賃金や過重労働を政府も認め、一人2万円程度の処遇改善を図るとしながら、3%の引き上げでは実現性がない」として、▽救急医療、産科、小児科などに必要な人的配置ができる診療報酬の緊急の引き上げ▽介護報酬5%以上の引き上げと介護職員の処遇改善に直接つながる措置−などを求めている。

 これらを実現するための財源に関しては、「政府・与党などが社会保障を口実にした消費税増税計画を打ち出している」と強く批判。世界同時不況で、英国などが消費税率を引き下げていることを挙げ、「1997年に消費税率を現行の5%に引き上げたことで景気が一気に悪化した教訓に学ぶべき」として、▽大企業・大資産家に適正な負担を求める▽従来の大型公共事業から、生活密着型の公共事業へ転換すれば、数兆円の新たな財源が生まれる−などと、財政を抜本的に見直す必要性を強調している。

 医療団体連絡会議は、全国保険医団体連合会、日本医療労働組合連合会、全日本民主医療機関連合会、日本生活協同組合連合会、新日本医師協会、日本患者同盟会の6団体で構成している。


更新:2009/01/14 17:39   キャリアブレイン

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