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同行ルポ:障害者19人の初めての海外旅行
6日午前10時30分、仁川空港の出国ゲート。 車椅子に乗った人、サングラスをして杖をつく人など、19人の障害者が集まった。 「2008障害者に旅行の自由を」というスローガンのもと、「旅行博士」のホームページと寄付ポータルサイト「ハッピービーン」(美しい財団とネイバーの 共同運営)で公募した手記およそ300件の中から選ばれた主人公だ。
午後1時5分、日本福岡行き大韓航空便への搭乗が始まった。 旅行会社側が1カ月前から公文を送るなど協力を要請していたこともあり、障害者の一行を先に通してくれた。 幸い、誰も不平を言う乗客はいなかった。
最初の問題がぶつかったのは飛行機の入口だった。 通路が狭いため、車椅子に乗った障害者は機内用車椅子に乗り換えて座席まで移動しなければならなかった。 1級肢体障害者が多く、搭乗には予想以上の長い時間がかかった。
1時間15分後、福岡に到着した。 後方に自動リフト施設があり車椅子に座ったまま乗車できる障害者専用車2台と一般大型観光バス1台が迎えに来ていた。
初日の宿舎はハウステンボスの前にある全日空ホテル。 翌日午前、この美しいリゾート型観光地の風車と庭園を見回った後、洪水体験と立体映画を楽しんだ。 階段式の劇場には車椅子障害者用のエレベーターが設置されていて、すぐに観覧席へ移動できた。 韓国の劇場では障害者席が形式的に最前列に指定されているため、映画が終わる頃には首を痛めることが多い。
佐世保の遊覧船に搭乗し、有名な‘佐世保ハンバーガー’を食べながら島を観光した。 船着き場と船を滑らかにつなぐ通路、甲板まで容易に上がれる遊覧船内の障害者専用エレベーターも印象的だった。遊覧が終わると、車椅子に乗った高齢者の団体観光客が次の搭乗を待っていた。 車椅子に酸素呼吸器まで取り付けている高齢者もいた。 韓国の老人長期療養保険法にあたる介護保険が早くから導入された日本では、老化や持病で歩行が困難な高齢者の余暇生活のため観光インフラの変化を余儀なくされたのだ。
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その後に行ったグラバー園では、丘の上の大邸宅まで利用できるオートウォークやリフトなどさまざまな移動施設があった。 オートウォークは歩き疲れた健常者にも便利な施設だ。 長崎港を背景にみんなで記念写真を撮影した。
3日目は朝からオーシャンフェリーに乗って世界最大のカルデラがある活火山の阿蘇山へ向かった。 障害者の車はカルデラ付近まで入ることができ、下車後の道も傾斜が緩やかだった。 このため、車椅子に乗った障害者もカルデラから上がる煙を見ながら日本の自然を満喫できた。
その日の晩、温泉が有名な湯布院で宿泊した。 家族温泉の中に簡易車椅子が設置された旅館だった。 車椅子に座ったまま温泉を楽しめる施設だ。 こうした施設を備えた旅館は多くないという。
旅行の最後の夜。 夕食会の雰囲気は2組の夫婦の‘新婚旅行’を祝う行事でピークになった。 春川(チュンチョ_ン)から来たキム・サンロクさん(51、肢体障害)-バン・ソンジャさん(47、知的障害)、群山(クンサン)から来たキム・ヒョンウさ ん(37、肢体障害)-オ・ヨンジャさん(36)の夫婦が新婚旅行へ行けなかったという話を聞き、旅館側がお祝いのケーキを準備してくれたのだ。
次女も障害があるなど苦労も多いが、地域の仕事も担当し、人のために役立ちながら生きたいというサンロクさん。周辺の引き止めに もかかわらず、交通事故で障害者になった恋人と涙の結婚式を挙げ、2人の子どもを育てながら幸せに暮らしているというヨンジャさん。2人のあいさつの言葉 に場内はしばらく粛然とした。
しかしすぐに歓声とともに「キス、キス」というコールが始まった。 両夫婦が照れくさそうにキスをすると、熱い拍手が起こった。 両夫婦のためだけの拍手ではなかった。 今回の旅行で違う世界を目にした自分たちのために、また、よりたくましく未来を切り開けるよう自らを祝福するために…。
障害者の一人はこう話した。 今回の日本旅行で最もうらやましく感じたのは、どの便宜施設でもなく、日本人の真心のこもった配慮だったと。 そして最も大切な贈り物は「世の中には自分より苦労している人が多く、自分にも旅行は十分にできる」という自信を抱かせてもらったことだと。 彼らの美しい旅行談は20日午後4時10分、KBS(韓国放送公社)1番組「愛の家族」でも放映される。