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海自イージス艦あたごと漁船が衝突、2人不明(2月19日夕刊)

イージス艦「あたご」と、分断されて浮かぶ「清徳丸」の船首(手前右)=2008年2月19日午前8時57分、千葉県野島崎沖40キロ付近で本社ヘリから、岩下幸一郎撮影
イージス艦「あたご」と、分断されて浮かぶ「清徳丸」の船首(手前右)=2008年2月19日午前8時57分、千葉県野島崎沖40キロ付近で本社ヘリから、岩下幸一郎撮影

 ◇「あたご」に回避義務か

 19日午前4時7分ごろ、千葉県南房総市の野島崎から南南西約40キロの海上で、海上自衛隊のイージス艦「あたご」=艦長・舩渡健(ふなとけん)1等海佐(52)、7750トン、乗組員296人=と千葉県勝浦市の新勝浦市漁業協同組合に所属するマグロはえ縄漁船「清徳丸(せいとくまる)」(全長約12メートル、7・3トン)が衝突した。漁船はあたごの艦首付近と衝突して船体が二つに割れ、船主の吉清(きちせい)治夫さん(58)と長男の哲大(てつひろ)さん(23)=いずれも勝浦市川津=の2人が行方不明になった。第3管区海上保安本部(横浜市)は巡視船艇や航空機などで捜索する一方、業務上過失往来妨害の疑いもあるとみて、舩渡艦長らから詳しい事情を聴く方針。【鈴木一生、山衛守剛、内橋寿明、本多健】

 衝突の衝撃で清徳丸は船首側と船尾側が分断され、3管の特殊救難隊員がそれぞれを確認したが、2人は見つかっていない。漁船中央にあった操舵(そうだ)室がなくなっており、事故の衝撃で破壊されたとみられる。

 3管や防衛省などによると、あたごは今年1月21~25日、米ハワイ沖で、装備している迎撃ミサイルSM2の発射試験を行い、2月6日にハワイを出発した。同19日に横須賀基地(神奈川県)に立ち寄り、母港の舞鶴港(京都府)に向かう予定だった。一方、清徳丸は吉清さん所有で、午前1時ごろ、漁のため三宅島方面に向けて勝浦市の川津漁港を出港していた。

 衝突時、あたごから「艦首付近が漁船と衝突し、船体が二つに割れ浮いている」と3管に通報があった。海上は、北北東の風7メートルで波の高さは0・5メートル。視界は約20キロだったという。

 ◇操業中なら漁船が優先

 海上衝突予防法によると、漁船が操業中だった場合、漁船に航路の優先権がある。このため、あたご側に回避義務がある。しかし、操業中の漁船は灯火や標識を掲げなければならないため、清徳丸の灯火などの有無も確認の必要がある。

 一方、漁船が操業中でなければ、相手船舶を右舷側に確認した船舶に回避義務が生じる。横須賀地方総監部によると、あたごは右舷に傷があったという。しかし、漁船が左右どちら側から航行していたかは確認されていない。

 ◇「回避動作取る」

 吉川栄治・海上幕僚長は午後1時から記者会見し、「イージス艦は漁船の存在に気付き、回避動作を取ったと聞いている。しかし、どの時点でどのように取ったかは調査中」と述べた。

 これに先立ち吉川幕僚長は「このような事故を起こし、誠に遺憾であり、国民の皆様に深くおわび申し上げます。漁船全員の捜索に全力を尽くしております」とコメントした。

2008年12月10日

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