準大手ゼネコン「西松建設」(東京)の裏金問題に絡み、同社で海外担当をしていた元副社長(68)が、海外の銀行口座にプールしていた裏金約1億円を不正に日本に持ち込むよう部下に指示していた疑いが強いことが13日、関係者の話でわかった。
国内外で行われた20億円を超える同社の裏金作りの解明を目指す東京地検特捜部もこれを把握、元副社長ら数人を外国為替及び外国貿易法(外為法)違反容疑で立件する方針を固め、詰めの捜査に入っている模様だ。
関係者によると、西松建設では過去5年間に、架空経費の計上などの手法で国内で10億円以上、海外で約10億円の裏金を捻出(ねんしゅつ)していたとされる。元副社長は、海外分の裏金作りを統括する立場だったという。
元副社長は、海外からの裏金の不正な持ち込みについて、その管理役だった元海外事業部副事業部長の高原和彦被告(63)=業務上横領罪で起訴=に指示。その額は1億円で、元副部長は香港に開設した銀行口座などに集めていた裏金の中からタイ経由で数回に分けて日本に持ち込んだとみられている。
元副社長は海外事業部長や管理本部長を経て副社長に就任。しかし、昨年10月、「一身上の都合」を理由に退任し、現在は非常勤顧問をしている。
同社が海外で捻出した裏金の一部については、タイ・バンコク都庁が03年に発注した工事をめぐり、同社がバンコク都の首脳(当時)向けのわいろとして約2億円を支出した疑いが浮上。特捜部がタイ当局に不正競争防止法違反(外国公務員への贈賄)容疑で捜査協力を要請している。