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Double Life
作:Toki.



2−5


「うわぁっ! これマジ美味っ!」

明日香の手料理を頬張りながら、幸助は言う。

「本当だよねぇ」

その隣に座っている沙希が言った。

明日香はなんだか照れていて、顔が赤くなっている。

なんだか可愛らしい。

「そうそう、まだ紹介してなかったわね」

沙希がご飯を食べるのを食べて隣に居る女の子を紹介する。

「この子は私と同じ中学校で…」

沙希の言葉を遮るように亮平は言った。

「3組の五十嵐(いがらし) 五十鈴(いすず)ちゃんだろ?」

「え?知っているの?」みたいな感じの顔をしていて幸助が亮平の言葉に言葉を足した。

「だって、その子映画研究部」

「え〜〜〜! 五十鈴って映画研究部だったの!?」

「え? ご、ごめんね…わ、わ、忘れてた…」

「まぁ、五十鈴のことだから言う機会がなかったんでしょうね」

…沈黙。

「あ、明日香ちゃんの料理は美味いよな? な?」

と、幸助が俺に向かって言ってくる。

「え? あぁ美味しいな」

パクパクと箸が進む。

「そういえばお二人さんっていつから付き合っていたの?」

沙希が箸で俺と、明日香の方を指して言う。

「俺らはそういう関係じゃないんだけど…」

「そうそう。そういう関係じゃないよ!」

俺と明日香は二人で沙希を攻める。

「けど、この前一緒に買い物してたわよね?」

ギクッ!!!!

ここでコレを言われると亮平に…。

「へ? そうなの?」

ほら、やっぱり亮平が話に乗ってきた。

「いや、ただあのスーパーでたまたまあっただけで…な? 明日香?」

俺は明日香に助けを求める。

「そ、そうだよ! たまたまだよね?」

俺達二人は確実に…冷や汗をかいているだろう。

その話もそこで終わり、ご飯も食べ終わった。

次は外に行こう!そう俺が言おうとした瞬間。

「明日香…何で洗面所に、歯ブラシが2個置いてあるの?」

いちいち五月蝿い沙希が明日香に聞いている。

「えっとねぇ…私が二つ使っているから?」

「そ、ならいいんだけど」

沙希はそういった後俺の方を見てニコッと笑った。

…こいつは只者じゃない。

その笑みを見た瞬間そう思えた。

「次どうする〜?」

明日香が俺に聞いてきた。

これはチャンス!

「外に行かないか?」

俺がそう言うと後ろから幸助の声が聞えてきた。

「え〜! せっかく明日香ちゃんのうちに来たのに…」

「幸助は黙っていなさい!」

幸助をにらみつけるように俺は言う。

ここにはもう居たくない…。

だって、これ以上ここに居たら沙希にばれてしまう。

「私は、幸助君の意見に賛成! 五十鈴もそう思うでしょ?」

沙希が手を挙げながら言う。

「沙希ちゃんがそういうなら私も!」

おいおいお二人さん…。

「亮平は外がいいよな?」

亮平なら…頷いてくれるはず…。

目で訴える俺。

しかし、亮平はそんなことも知らず、「中がいい」とか言い出した。

うぉ〜い!

明日香は当然俺の意見に賛成。

「何で二人はここが嫌なのさ」

沙希が俺たちに向かってそう言ってくる。

…痛い質問だな。

『俺がここに住んでいることをバレたくないから!』とかいえないし、変な嘘は逆にそう言っていることになる。

ここは一つ後ろに引くか…。

「まぁ、外の方が楽しいと思って…みんなが中がいいなら中でいいけど。」

俺の部屋は一応開けられないようにしてあるし、このリビングに居れば、まずばれることはないだろう。

それから俺達6人は明日香の家…じゃなく俺たちの家で色々な遊びをした。

何故か合コンに近い遊びばっかり。

王様ゲーム。

まぁ俺は女の子と接触することもなく、無事王様ゲームを終了した。

その次に俺を待っていたゲームは…トランプ!

接触しなさそうないいゲームだ。

最初はばば抜き。

俺のを取る人は明日香、俺が取る相手は亮平となっている。

一応、明日香との距離は70センチといった所だろうか?

そうでもしないと、触れてしまうから危険地域。

亮平の方にかなり寄って座っています…。

このばば抜きは特別ルールがあって、声を出してはいけない、カードの順番を一回一回変えなければならないというルール。

何故か分からないが沙希が決めたルールなのだ。

そして、明日香が隣の五十鈴のを取るというところまで順番が回ってきた。

ぱっと明日香がカードを取ると一瞬だけ顔が曇った。

…ババを引いたな。

明日香がそのカードを入れて下に隠してカードの順番を変える。

真ん中少し右より注意。

俺の頭がそう言っている。

少しカードを上に挙げて俺に取らせようとしている。

…コレがババか?

それともフェイク…。

明日香の手持ちのカードは全部で6枚。

そのカードがフェイクだとしてもババを引く確立が5分の1。

…俺は一番右のカードを引いた。

「…。」

ババ。

明日香は少し笑いそうになって、下を向いた。

クソッ。

あいつ俺の心でも読んでいるのかよ…。

そして、俺はカードの順番を変える。

ババの位置、右から二番目。

亮平が一番右のカードを引こうとした。

そのときを俺はニヤッと笑みを作ってフェイクをかける。

亮平は俺の表情を見たのかその隣のカードをいっきに引いた。

ククククク引っかかったな。

それは…ババさ。

亮平の顔がすごく悔しそうに見えるが、誰も亮平がババを引いたとは思っていない表情。

意外とこのルールはスリルがあって面白い。

最終的にババを持っていたのがこのトランプをしようと言い出した沙希。

最後まで俺は沙希と残っていたのだが、心理戦で勝ち抜いた。

3度交互しながら渡ったのだ。

その後も、大富豪、7並べ、ダウトなどをやった。

そこでトランプ遊びは終了!

その後は皆疲れたようで、違うことをしている。

俺は今にも自分の部屋に行きたいが、いけない…。

明日香は沙希と話しているし、亮平と幸助は互いに話している。

俺が五十鈴ちゃんに話しかけられるワケもなく、ただボーとしている。

しかし、最近では喋る方は大分出来るようになってきた。

どこかの不良とかは全く無理なんだが…。

「風紀〜?」

明日香が俺を呼んでいる。

「ん?」

「私達、私の部屋…じゃなくて部屋に行っているから!」

「え? 俺も行きたい!」

女の子の部屋に上がろうとする何も考えていないやつは幸助。

「…別にいいけど?」

そう答える明日香も明日香だ。

あいつは「男が危険」とは思っていないのか?

む、む、無防備すぎる…。

「じゃ、早く行こうぜ! な? 風紀」

と、言って俺の袖を持ち、俺ら男集団まで明日香の部屋に入ろうとしている。

「いいのか明日香?」

一応紳士な俺は明日香に了解を取る。

「別に入ってもすることないけど…」

そういえば、俺は今までに完成した明日香の部屋に一度しか入ったことがない。

その一度とは、テレビの付け替え。

あの時は二人っきりで同じ部屋にいたからドキドキしたが、今度は6人も居るんだし…大丈夫でしょう。




















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