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ソニーが韓国企業に追いつかれた理由とは(下)

◆アップルに主導権奪われた音楽事業

 ソニーは1980年代に「ウォークマン」という革新的な製品で携帯用音楽プレーヤーの時代を開いた主人公となったが、市場が成長した後、その力をほとんど発揮できなかった。自分たちの技術標準に固執したためだ。海外の音楽市場でMP3プレーヤー中心に再編が進んでいるにもかかわらず、ソニーは数年間かけて独自に開発したミニディスク(MD)にこだわった。その後、MP3プレーヤー市場に遅れて参入したが、ソニー製品ではソニーミュージックなど自分たちの技術方式で記録された音楽だけを聴けるようにして、自ら孤立を招いた。

 家庭用ゲーム機も高度の技術力を誇ったが失敗した。ソニーは1990年代半ばから鮮やかなグラフィックが売り物のテレビゲーム機「プレイステーション」シリーズを発売し、これまでに1億台以上を売り上げた。しかし、ソニーは技術力とグラフィックにこだわるあまり、「誰でも簡単に楽しめるゲーム」をモットーに掲げる任天堂に押されている。任天堂は2006年から3年間で売り上げを4倍近く伸ばしたが、ソニーのエンターテインメント部門は06年、07年にそれぞれ2320億円、1240億円の営業損失を出した。

◆社内カンパニー制など改革の失敗

 ソニーは1994年に従業員の自発性と責任意識を強化するため、本社機能を大幅に縮小し、各部門に権限を大幅に移譲する社内カンパニー制を導入した。最高経営陣の顔色ばかりうかがうマンネリ状態から脱皮するのが狙いだった。

 しかし、この制度に日本特有の排他性が重なり、とんでもない結果を生んだ。社内の壁が高くなり、事業部門間の相乗効果がほとんど生まれなくなったのだ。例えば、ハードウエア部門で音楽や映画などのコンテンツを活用しようと思っても、肝心の担当部門が違法コピーを恐れて待ったをかけるようなケースだ。

 サムスン経済研究所のクォン・ギドク首席研究員は「社内カンパニー制が経営環境に迅速に対応する上で致命的な弱点となっている」と指摘した。05年に就任したストリンガーCEOは社内カンパニー制を廃止し、大規模なリストラを行うなど、米国式改革を進めようとしたが、世界的な景気低迷に足元をすくわれた。

趙亨来(チョ・ヒョンレ)記者

チョン・ジンヨン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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