奈良地裁に入る草薙厚子氏=14日午前10時29分、奈良市登大路町、山本裕之撮影
奈良地裁に入る崎浜盛三被告=14日午前10時36分、奈良市登大路町、山本裕之撮影
証人尋問に応じる草薙厚子氏=14日午前、奈良地裁、絵・岩崎絵里
06年に奈良県田原本町で起きた医師宅放火殺人事件をめぐり、中等少年院送致となった医師の長男(18)らの供述調書を大量に引用した本が出版された問題で、秘密漏示の罪に問われた鑑定医の崎浜盛三(もりみつ)被告(51)の公判が14日、奈良地裁(石川恭司裁判長)であり、本の著者でフリージャーナリストの草薙厚子氏(44)が証人として出廷した。草薙氏は供述調書を入手した取材源が崎浜医師だったことを初めて明らかにしたうえで、崎浜医師に謝罪した。
検察側による尋問に対し、草薙氏は「情報源を明らかにすることが崎浜先生にとってよいことだと思い、(情報源が)崎浜先生であることを明らかにします」と答え、被告席の崎浜医師に向かって「本当に申し訳ございませんでした」と謝罪の言葉を述べた後、深々と頭を下げた。これまで取材源を伏せていた理由について尋ねられると「情報源の秘匿はジャーナリストの生命線であるうえ、崎浜先生と直接話す機会もなく、真意が分からなかったため」と説明。「崎浜先生がすべてを話していると聞いたので、事実関係を明かすことが崎浜先生の利益になると思った」と述べた。
また、週刊誌の編集者らと崎浜医師宅を訪れた際、同医師の不在中に、同行したカメラマンに頼んで供述調書を写真撮影したことを明かした。「メモを取る承諾は事前に得ていたが、写真を撮る許可までは得ていなかった。しかし、メモも写真も変わらないと思った」と述べた。
「関係者のプライバシーの問題は考えなかったのか」との質問には「今回のような重大事件の調書は、国民に知らせるべき資料だ」と述べ、調書を引用した理由については「真実性を読者に実感してもらうため」と説明した。
さらに、供述調書について「週刊誌編集部が強い関心を寄せており、私は精神鑑定書に興味があった」とした。