家族の意見「尊重せざるを得ない」が5割−慢性期医療協会調査
日本慢性期医療協会はこのほど、療養病床における終末期医療・看護に関する調査結果を発表した。医師と看護師に行った意識調査では、患者本人が認知症や意識障害によって意思表示ができない場合などに、「家族の意見を尊重せざるを得ない」と考える割合は約50%で、「家族の意見が尊重されるべき」とする29.9%を上回った。
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意識調査は昨年9月、同協会会員の病院に勤務する医師と看護師に対して行われ、合計1180人が回答した。このうち、有効回答数は医師338人、看護師834人だった。
「終末期」の定義について、「病状が進行し、治療により改善が期待できない時から死亡までの期間」という一般的な考え方は、療養病床に入院する患者にも該当するかという質問には、720人(61.1%)が「該当する」とする一方で、324人(27.5%)が「該当しない」、103人(8.7%)が「疾患によっては該当しない」としている。
「該当しない」「疾患によっては該当しない」と回答した人のうち、「終末期」と考える時期について聞くと、「呼吸が不規則など、バイタルサインが悪化した時」が254人(60.0%)、「経鼻(経管)栄養を実施後、腸管が栄養を受け付けなくなってきたと考えられる時」189人(44.7%)などが挙げられた(複数回答)。
「終末期に受ける処遇について、あらかじめ患者本人の意思を書面に記しておくという考え方に賛成か」という質問には、821人(69.9%)が「賛成である」と回答。「賛成である」と回答した人のうち、「書面による意思表示の方法について、日本ではどのように扱われるのが適切だと考えるか」という質問には、「書面が有効であるという法律を制定すべき」と回答したのが202人(24.9%)に対して、「法律を制定しなくても、医師が家族と相談の上、その希望を尊重して治療方針を決定する」という回答が、577人(71.2%)を占めた。
「患者本人が認知症、意識障害により意思表示ができない場合、家族の意見が尊重されるべきだと考えるか」という質問には、349人(29.9%)が「尊重されるべき」と回答したが、「尊重せざるを得ない」との回答が579人(49.6%)に上った。また、「その時の状況による」も210人(18.0%)を占めた。
更新:2009/01/13 21:44 キャリアブレイン
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