【ワシントン草野和彦】オバマ次期米大統領が国務長官に指名したヒラリー・クリントン上院議員の承認に関する公聴会が13日午前(日本時間13日深夜)、米上院外交委員会で開かれた。クリントン氏は日米同盟について、「米国との同盟はアジア政策の要石だ。アジア太平洋地域の平和と繁栄の維持に必要不可欠だ」と述べ、同盟関係を重視・強化する考えを示した。
一方、中国については「世界の展望を変化させていく役割を担う、とても重要な国」とし、「積極的で肯定的な関係を築きたい」と述べた。
◇「スマートパワー」提唱…軍事偏重と決別
【ワシントン草野和彦】米上院外交委員会で13日開かれたヒラリー・クリントン上院議員の国務長官指名承認に関する公聴会で、クリントン氏は新政権の外交政策の基本理念として、「スマート(賢明な)パワー」を打ち出した。
軍事力などの「ハードパワー」のみに頼らず、外交力や文化発信力、経済力などの「ソフトパワー」を組み合わせて活用し、協調主義に基づいた米国の国際的指導力を刷新する姿勢を明示。ブッシュ政権の軍事偏重路線との決別を改めて強調した。
直面する課題の一部として、イラク戦争の責任ある終結と、アフガニスタン戦争へのシフトを挙げ、アフガン、パキスタン両政府や周辺国と協調した「包括的対策が重要」と語った。
イスラエル軍の攻撃が続くパレスチナ自治区ガザ地区情勢については、イスラエルの自衛権を認めつつ、民間人の被害増大にも強い懸念を表明。中東和平の実現に積極的に取り組む意向を示した。
イランや北朝鮮の核拡散問題への対処も表明。さらに、クリントン前政権下で署名した核実験全面禁止条約(CTBT)の批准を目指す方針も示した。
クリントン氏の承認は早ければ上院本会議で新政権発足日の20日に採決される。上院はクリントン氏の民主党が多数のため、承認される見通し。
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