猫を償うに猫をもってせよ

2009-01-14 椿事

 「2ちゃんねる」に書き込んだ者がすぐに特定できる、ということは実に珍しいことだ。椿事である。阪大言語文化の院生だった者である。

 某は、客観的事実以外に主観的事実というものがあると、上野千鶴子のようなことを言い、私は「客観的事実を認められないなら、学者は廃業したほうがいいです」とメールに書いた。某はそれへの返答の最後に「他人の主観的事実を認められないなら、歴史家は廃業したほうがいいです」と書いてきた。私は歴史家ではないので、これはよそごとだと思って放っておいた。すると一日ほどたって2ちゃんねる上に、「歴史家を廃業したほうがいいと(小谷野に)言ってやった」という書き込みが現れたので驚いた。そんな、すぐに特定できる書き込みをするバカがいるか。

 私は某に、この復讐は必ずする、とメールした。するといったんは開き直ったが、名前をばらす、と書いたら、削除要請を出した、と言ってきたので、名前を出すのはなしにした。まさか削除はされないだろうが−−。

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 芥川賞は、くやしいが、下馬評どおり、津村だろうなあ。くやしいというのは、ああいう、ちょっとしょぼい三十女の日常を、子供をダシに語るのが純文学なのかなあ、と思うからである。しかし山崎ナオコーラの候補作も、仏像を見に行く場面がある。仏像ばやりなのであろうか。私は実はナオコーラのほうが、主人公の内面の荒廃が見せ消ちになっていて、いいと思うのだが。