高度な専門知識を要する看護師の職場離れを防ぐため、県立中央病院が導入した育児支
援制度が成果を上げている。希望に応じて勤務時間を短縮する仕組みで、育児を理由とし
た退職者は昨年一年間でわずか一人、育児休暇取得期間も全体的に半年ほど短くなった。
同病院は「仕事と育児の両立を図りやすくすることで、人材確保につながっている」とし
、制度の充実も検討している。
県立中央病院では例年、四人前後が出産を理由に退職していたが、「育児のための短時
間勤務制度」を導入した昨年はわずかに一人だけだった。また、例年三十人前後が一年半
ほど取得する育児休暇は、おおむね一年間の申請にとどまり、早期に現場に復帰している
。
県立中央病院は現在、患者七人に対して一人の看護師を配置する「七対一看護」体制の
導入を検討しており、また、NICU(新生児集中治療室)の集約化をめぐる議論が続い
ている。
一方で、結婚、出産を控える看護師の数は一定数あり、現場では「より専門性の高い人
材が抜けるのは大きな痛手」(県内の医療関係者)との声が上がっている。安全性の向上
や看護師の負担軽減のためには「戦力」になる熟練看護師の存在は不可欠であり、今後ま
すますきめの細かい育児支援策が求められる。
同病院の内上ミワ子看護部長は成果に手応えをつかみ、「退職者の減少や育児休暇の短
縮は大変ありがたい。今後も子を持つ職員のため、育児支援の充実を図る」としている。