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「どこのケータイでもかけ放題!」のその後。

2009/01/09 21:19

エキスパートアライアンスについて新しい情報を投稿していただきました。

原文はもっと長いのですが、とりあえずツッコミどころだけ抜粋します(元情報は2chに投稿された営業資料?だそうです)。

電話をかける場合は、アプリを立ち上げて電話帳を呼び出し、発信すると、相手
先の電話番号(090*****)の前に、総務省が発行してくれた事業者識別番号(0*************)
が自動的に付帯され、ELA.comのサーバーまで普通の電話回線でアクセスされます

この回線の利用料金は定額制でELA.comの月会費に含まれています。
ELA.comのサーバーに入ると同時にIP化され、インターネット網を経由して相手の電話に繋がります。
よって相手方の電話にはIP番号(050******)が表示される事になります。

なんじゃこりゃ。「総務省が発行してくれた」って、電気通信番号を総務省に発行してもらわずに勝手に払い出したら犯罪です。ただそれ以前に、エキスパートアライアンスが電気通信番号を払い出してもらったという事実が存在しないみたいなんですけど。電気通信番号の払い出しは結構審査が厳しくて、既存事業者でさえそうそう簡単に番号はもらえません。こんな荒唐無稽な事業プランでは電気通信番号なんてもらえないだろうなぁ。

ELA.comのサーバまで普通の電話回線で接続し、そこまでの利用料金は定額制、と書いてありますが、完全に矛盾しています(「普通の電話回線」vs「定額制」)。おそらく、通話料については一旦ELA.comで負担し、その分を発信者に請求する代わりに定額料に含めていますよ、と言っているんだと思うんですが。相手先(ここではELA.com)までの通話料を相手先(ELA.com)が負担、というのは、いわゆる着信者課金サービス。ただしこの場合、この通話料を決定できるのは、発信者側の電話事業者です。ELA.comには決定権はありません。ドコモならドコモの言い値で支払わなきゃなりません。これは、ドコモが本来発信者から徴収する料金を単に着信者に請求するだけのサービスだからです。これには絶対に紛れはありません。タイプSSバリューなら、30秒21円の料金が発生し、ELA.comの言うとおりならこれがELA.comに請求されるだけです。4000円の定額料なら、通話100分足らずで原価割れ。ビジネスが成り立っていません。

また、インターネットを経由したIP電話が通話相手の電話につながることはありません。一旦インターネットに出ちゃったら、二度と電話網には戻れないのです。電話網とインターネットは物理的にも論理的にも完全に切り離されたネットワーク。もしインターネットから電話網に電話をつなぎたいなら、必ず相互接続の中継網が必要です。もちろんその接続ポイントで携帯電話事業者からアクセスチャージをとられます。さらに言えば、携帯電話直結の中継網は前にも言ったとおり、まず構築出来ません。せいぜい、NTT東西の中継網に戻るのが関の山。となると、当然NTT東西からもアクセスチャージを取られます。あわせれば、大体、大手がやっている携帯電話向け格安料金番号(0033とか0039とかの、アレね)と変わらない料金になってしまいます。

倒産逃亡覚悟なら、出来ますよ、もちろん。というより、インターネットとかなんとかややこしいことを言わずに、単にフリーダイヤルを一つ用意して、その先にサブアドレス先に050発で転送するだけの電話サーバを置いておけば、全く同じことが出来ます。コストもほとんど同じで。この「フリーダイヤルを使ってIP電話経由で転送するだけのサービス」が「話し放題サービス」として誰もやっていない(もちろん常識的に考えて成功するはずが無い)という点で、エキスパートアライアンスのビジネスは根底から崩壊しています。

ポイントを整理して並べておきますね。

営業資料によると、「かけ放題」になることよりも、ダウンを紹介してコミッションを獲得することに主眼を置いているようですね。これは、マルチ商法ではなく、「マルチまがい」に該当する可能性があります。なにせ、「かけ放題」自体は実態のあるサービスとはなりえないわけですから・・・。マルチのツリーを築き上げてがっつり稼いだら逃亡する、というのが、まず間違いない線でしょうね。

エキスパートアライアンスに対しては体制側に立っている身としてはちょっと言いにくいことではありますけど、「電話網」というのは、「利権」です。あらゆる法令でガッチガチに守られています。エキスパートアライアンスごときがこじ開けられるようなスキマはありません。ここに抜け穴を作ろうという行為は、NTTグループとKDDIグループとソフトバンクグループ(と、ついでにイーアクセスグループ)にケンカを売ろうというのと同じ意味です。なぜなら、携帯電話網と市内網と中継網を持っているのは、これらの会社だけですから。最後にお客さんの手元にある携帯電話や固定電話につながるその電波・銅線・光は、彼らのものです。ですから、彼らに料金設定権があります。持たざるものは勝てないように出来てるんです。

という、「電話事業の鉄則」を挙げておけば、今後どんな手を駆使してもダメだということがわかってもらえるんじゃないでしょうかね。いや、個別にツッコミ入れるのめんどいんで(苦笑)。といったところで本日の一言、これにて。

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12 件のコメント to “「どこのケータイでもかけ放題!」のその後。”

  1. GORI :
    2009/01/09 at 21:29:27

    ツッコミ解説感謝です。
    これで盲目的に信じちゃってる人が、目ぇ覚ましてくれるといいんですけどねぇ……。

  2. 河童 :
    2009/01/09 at 22:38:14

    盲目的に信じている人がこの文章を読んでくれれば良いのですが。
    マルチとマルチまがいの定義はもっと違ったと思います。
    実態が無い分、ほとんどねずみ講に近いですね。

    ところでウィルコムには利権が何も無いんですか?NTT網が基本だから??

  3. GORI :
    2009/01/09 at 22:50:18

    >ところでウィルコムには利権が何も無いんですか?NTT網が基本だから??
    エキスパートアライアンスの資料に「PHSは対象外」と明記されてるので書いてないだけだと思いますよ。

  4. cat-mimi :
    2009/01/09 at 23:50:10

    何も言うことはないですね…早く行政(?)が、止めに入らないと。

  5. Mickey :
    2009/01/10 at 1:11:35

    こういったマルチまがいよりもむしろねずみ講に近いものが横行してるから正当なマルチが叩かれるんですよね。
    ほら。某民○党の前○議員なんかがもその煽りで離党までしてしまって…。

    いつかは定額かけ放題な世の中になるんでしょうかねぇ?

  6. GORI :
    2009/01/10 at 12:10:18

    「正当なマルチ」ってのの実例を挙げてみてください。
    それで、あなたの洗脳度がわかります。

    法律的に穴があって違法にならないってだけで、正当なわけではないですよ。
    このへんはイタチごっこですからねぇ。

  7. Mickey :
    2009/01/10 at 22:50:40

    あれ?アムウェイなどは「正当なマルチ」ではなかったんですか?
    特定商取引法の連鎖販売取引(やサプリメントなどを扱っていれば薬事法も)を守っていれば大丈夫なんだと思うのですが。

  8. 河童 :
    2009/01/11 at 9:20:18

    GORI様

    これは大変失礼しました。そのような事が記載されていたんですね。

    Mickey様

    問題が無ければこんなホームページもできないでしょう。
    http://www6.big.or.jp/~beyond/akutoku/network/amway/

  9. winterside :
    2009/01/11 at 16:49:50

    問題があっても正当、問題がなくても不当ってのはありますからねぇ。

    それより、新年になってから出てきた「携帯電話接続料引き下げ検討」報道が
    変な後押しにならなきゃいいですけどね。
    知らない人がみたらミスリードさせるネタになりそうですよ。

  10. GORI :
    2009/01/11 at 17:42:57

    >特定商取引法の連鎖販売取引(やサプリメントなどを扱っていれば薬事法も)を守っていれば大丈夫なんだと思うのですが。
    それまでの法律を守っていて違法性の無かった「ねずみ講」は、1979年5月の「無限連鎖講の防止に関する法律」の施行で違法ということになりました。
    その理屈が通るなら同様に「(1979年以前の)ねずみ講は正当」と言えるわけですけど、どう思います?

  11. secre :
    2009/01/12 at 4:42:16

    暇?人さん、Linkclubじゃありませんでした?
    大丈夫ですか?
    http://another.willcomnews.com/?eid=912997

  12. tarosuke :
    2009/01/12 at 21:26:25

    すごーく細かいところなのですが、00XYや0AB0系の着課金は発信側事業者ではなく着信側事業者がユーザ
    料金を設定します。発信側はアクセスチャージを請求するのみです。
    ですのでこのような接続の形態をとる場合のビジネスモデルとしては、暇?人さんのおっしゃるとおり、
    着側ユーザとして着課金サービスを提供してもらいながら、その料金以上のお金をエンドユーザから
    回収するしかないのですが、いくら卸料金や相対料金でネットワークを安価に仕入れても「かけ放題」なら
    確実に原価割れしちゃいますよね。
    この先どうなるのか、とても楽しみです。

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