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またまた出ました、「どこのケータイ会社でも話し放題!」

2008/12/26 21:01

えーと、エキスパートアライアンスと言う会社が、「月額一万円でどの携帯会社でも電話がかけ放題になる」と言うことをいって、限定200万台(笑)で加入者を募っているそうです。で、これについて、「本当にそれは可能なのか考察してください」と言うメールをいただきましたので、一言。

えーと、単刀直入に言います。出来ません。終わり。

技術とか資源とかの問題じゃなくて、ビジネスの問題。携帯電話ネットワークを持っているのは誰か?と言うと、当然、各携帯電話キャリアです。各携帯電話キャリアがそのネットワークを定額で他社に貸す、と言うことをしない限り絶対に出来ません。そして、携帯電話各社はそんな赤字にしかならないことをやる動機がありません。

技術的に何をどう言っているのか、というのが、実は直接の情報が全くなくて困っているんですが、タレコミメールによると、「専用アプリで音声をパケット化しインターネットを通じてAT&Tを通じて定額で契約してある回線を通じて各キャリアの着信者につながる」ということらしいのですが、もうこの時点で破綻しています。

AT&Tが日本の携帯電話キャリアとの相互接続を定額契約しているという事実がまず存在しません。それどころか、海外の電話事業者はただの一社も日本の携帯電話キャリアとは相互接続していません。海外から日本への通話は必ずNTTへ接続されます。これは国際的な取り決めでそう決まっているからです。

携帯電話キャリアはNTTに対して携帯電話網接続料金を請求します。NTTは、それと自社の中継網の中継接続料金とを合算して、海外の電話会社に請求します。海外の電話会社はそれに自社のマージンを乗せて顧客に請求します。実に単純な話で、これのどこをどういじっても「定額」という契約は実現できません。携帯電話会社の中でも「ドコモ」「KDDI」はドミナント規制のために事実上定額の接続料を実施できませんし、NTTはNTT法でそのような契約を禁止されています。要するに「海外キャリアとかインターネットとか言う言葉をちりばめとけば半可通くらいなら煙に巻けるだろう」という浅い考えの通信詐欺です。

では、エキスパートアライアンスが直接携帯電話会社と相互接続するのは、というと、これも無理です。仮に、本当に仮に、エキスパートアライアンスが電気通信事業者免許を獲得でき、自社の中継網を構築できたとしましょう(この二つは相互接続の最低条件です)。では、例えばドコモとの相互接続で、エキスパートアライアンスがドコモに対して「うちから支払うアクセスチャージは定額にして」と言ったら、ドコモはいいっすよー、と言ってくれるでしょうか。ありえませんね。では、定額じゃないけど従量アクセスチャージは自社で飲み込んじゃう、とするとどうなるでしょうか。この場合、月平均15時間ほど通話すると完全に原価割れしてしまいます。「ドコモと相互接続する」という非常に高いハードルを越えてさえ、平均15時間以下を期待しないと原価さえ回収できないサービスです。ドコモでさえそうですから、接続料金がより高い他社も含めれば、さらにこの条件は厳しくなります。そして、この相互接続するということのハードルは、すさまじく高いんです。ウィルコムも含め、多くの電話事業者が、携帯電話事業者との直接相互接続を実現出来ていません。相互接続するための中継交換機の維持費が死ぬほど高いからです。それを、携帯電話キャリアの数だけ用意しなきゃならない、というのは、完全にエキスパートアライアンスグループの財務レベルを超越しています。15時間までなら話し放題できるかも、どころじゃなく、そもそもの当座の維持費の捻出さえ出来ないだろうと思います。

これが、「専用アプリをインストールした人同士なら通話無料」なら、全く問題なく実現できたんですけどねぇ。要するに単なるインターネット電話アプリ開発しちゃいました、なら全く問題なく実現できたわけですけど。まぁ、タレコミメールによると「パケット定額も不要」と言っているらしいので、この方法だとしても定額にはなりえないわけですけど。

ただ、唯一実現可能な方法があります。もちろん「詐欺」前提ですが。それは、米国に適当な法人を立ち上げ、AT&Tの多回線契約をしてインターネット電話のターミナルを取り付け、日本の携帯電話宛てに国際電話で普通につなぎます。翌月に請求書が届きます。無視します。翌々月に督促状が届きます。無視します。いつの間にか会社ごと消えます(計画倒産も可)。回線が不通になり、サービスが終了します。これで、3ヶ月だけはこのサービスを継続できます。仮に10万回線を取れれば、10万回線x1万円x3ヶ月=30億円の稼ぎです。その稼ぎを持ってドロンしちゃえばOK。

そもそもエキスパートアライアンスは無認可のマルチ商法共済保険をやっていたという、きわめて筋の悪い会社。認可制度の厳格化が決まるとあわてて別会社を立ち上げ、共済契約をすべて新会社に移し変えてしまうというようなその場しのぎの経営。規制強化でマルチによる加入者獲得が行き詰ったため、ここに来て話題づくりか逃亡準備のためにこういう通信事業もどきをぶち上げた、という感じですね。

何はともあれ、JMネットであれだけ騒がれてネタは割れているというのに、この期に及んでこう言うことをやる会社があるんだなぁ、というのが本音。といったところで本日はこれにて。

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15 件のコメント to “またまた出ました、「どこのケータイ会社でも話し放題!」”

  1. acky :
    2008/12/26 at 21:13:09

    限定200万って・・・
    イーモバより多いじゃん

    電話かけ放題が不可能という考えは暇?人さんに完全同意なんですが
    会社名で検索するとどうやら株式会社のようでして、こういう記事って、
    ・・・書いて大丈夫でしょうか。ちょっと心配です。

  2. usodakun :
    2008/12/26 at 21:51:34

    つまり噛み砕くと

    ・ケータイ会社を経由するのに”定額”はありえない。
    ・できたとして、数ヶ月で使えなくなる可能性が高い。

    ってことですよね。(某質問サイトに、このblogのアドレスが載っていたため、念のため)

  3. けむ :
    2008/12/26 at 22:09:30

    過去の事例から怪しさを比較してみると…

    JMネット>近未來通信>平成電電>芋場、白戸家>こえられない壁>元国営企業2社

    今回の会社は…JMネットレベルでしょうか。

  4. 相田 :
    2008/12/26 at 22:51:19

    まぁ、株式会社だからといってまともな会社とは限りませんからねぇ・・・

  5. Ko :
    2008/12/27 at 2:04:13

    そういうことではなく、上場してたら・・・って話ではないかと。

    まぁこの手の企業が上場してるとは思えませんが。

  6. HELP :
    2008/12/27 at 9:21:00

    Googleで検索するとクエリの複合候補にマルチも出ますし、
    実態はアレなところなんでしょうね。

    というか、こんな旨い話があるのなら、とっくの昔に私の耳にも
    入ってるはず・・・初めて聞きましたよ;^^

  7. maomao :
    2008/12/27 at 18:33:16

    訴訟起こして口ふさいじゃえって事はあるかもー?

  8. GORI :
    2008/12/28 at 13:29:43

    肯定派のブログとか見ましたが、かなり思い込みが激しくて怖いですね。どこの宗教かと。
    このテの人たちにはいくら説明しても通じないってのはいつもの事ですけど。

  9. maomao :
    2008/12/30 at 18:51:02

    それは中のひ・・げふんごふん

  10. winterside :
    2008/12/31 at 0:19:18

    月額1万円だと、実際に出来たとしても加入者伸びないような気もしますねぇ。
    ホワイトプランで980円、というか6〜7円の人もいるようですし。

  11. GORI :
    2008/12/31 at 13:21:39

    >月額1万円だと、実際に出来たとしても加入者伸びないような気もしますねぇ。
    その後、各キャリアに払う基本料金を含めないで4000円、とかいう情報も出ているようですよ。
    例によって未確認情報ばっかりですが。

  12. winterside :
    2008/12/31 at 16:57:06

    本体からの情報って見あたりませんよね?

    関係あるのかないのか、こういう付け焼き刃な応援見つけたり・・・・・
    http://elacom.blog.shinobi.jp/Date/200812/
    >「歴史は繰り返す」
    >発明家は、
    >いつの時代でも「そんことはできないよ」と否定されました。
    >1、少数の推進派
    >と
    >2、多数の否定派。
    >別のいいかたをすれば、
    >1、前例がなくても「できる」と信じて、ひとつひとつ壁を乗り越える人。
    >2、過去に前例がないことは、「できない」と思い込む人。

    ↑こういうの見ると、かえって「あ、詐欺っぽい」と思っちゃいますよね。
    なにしろ
    3、前例がなくても「できる」と信じて、結局できなかった人。
    4、前例がなくても「できる」といって、周りを騙しただけの人。
    といった、都合の悪い例は一切載せない辺りが・・・・・

  13. winterside :
    2008/12/31 at 17:22:57

    「ELAドットコム」でいくつか出てきました。
    いや、本当にJMやらオレパックジャパン(懐かしい)っぽい。

    これもマスメディアが、JMとか近未來とかの詐欺関係報道をやたら控え目にしたせいか・・・・・
    いくら被害拡大の片棒担いでたようなもんだからって・・・・・・
    日本のマスメディアって本当にダメですね。

  14. cat-mimi :
    2009/01/05 at 23:09:31

    >「専用アプリをインストールした人同士なら通話無料」なら、全く問題なく実現できたんですけどねぇ。

    スカイプの有料音声メッセージサービスや
    Live Messengerの音声メモ送信機能みたいな物ですか。

    auに限って言えば、公式アプリしか、
    自由に通信ができない仕様なので、
    (他のキャリアもアプリの通信制限は、あると思いますが…)
    無理ですね。

    そういえば、いまの携帯やPHSの大半の機種が、音声を録音して、
    添付ファイルで送信ができますけど、そういう方式で、
    メッセージのやり取りしてる人は、どれくらいいるんでしょうね。

  15. 相田 :
    2009/01/10 at 18:01:49

    あれれ?
    >wintersideさんの紹介してくれているブログ、投稿不可にしてあるとか書いておきながら1件コメントが付いているね?
    しかも気味が悪いぐらいに賞賛のコメントがw

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