「9時から5時まで」と言えば、勤め人の生活パターンをあらわし、決まり切った暮らしに不満も持たず、夢や冒険心も忘れたサラリーマン人生を皮肉る言葉にも使われる 元々は、米自動車産業界ビッグ3の一角、フォード社が最初に定着させた労働形態だといわれる。朝が来ると皆同じように働き、工場は一斉に稼働し、夕方には仕事を終えて、ごくろうさんといたわりあって家路につく 車という製品ばかりか、現代人の生活パターンまでを生み出した企業の力をあらためて思う。と、同時に、平々凡々と同じことを繰り返す普通の暮らしも、いざ維持していくとなると難しいものと、つくづく思うこのごろである 産業界の減産が伝えられている。年末年始にたっぷり休んだのに再び連続休暇が続くという。生産調整は各業種に広がっている。順調に回転していた社会の歯車が故障して人生の歯車が狂った人も多い。朝起きて行くところがないのは辛いだろう が、普通に暮らせる日々は必ず戻る。時計の針は回り続け、朝の来ない夜はない。日本人はこう信じ何度も危機を乗り越えてきたのだ。
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