命をテーマにした授業で知られ、昨年11月に乳がんで亡くなった大分県の元中学養護教諭、山田泉さん(享年49歳)と、パリ在住のチェリスト、エリックマリア・クチュリエさん(36)の交流を描くドキュメンタリー映画「ご縁玉 パリから大分へ」がユーロスペース(渋谷区円山町)で上映されている。
山田さんは00年に乳がんを手術し、復職後にハンセン病患者らを招いた授業を展開した。07年、がんの転移が見つかり、「最後の旅に」と訪れたフランスでクチュリエさんと知り合った。孤児だったクチュリエさんはフランス人夫婦に育てられたが、養母を乳がんで亡くした経験があった。別れ際、山田さんの長女が「ご縁がありますように」と五円玉を渡し、クチュリエさんはその後、大分を訪問。2人で児童養護施設などを訪ね、チェロを演奏して回った。
パリ在住の江口方康(まさやす)監督(44)は2人が出会った場に居合わせ、大分への旅にも同行した。「ホスピスで演奏を聴き、涙する高齢者もいた。2人と、その周囲の命の輝きを多くの人に見てほしいと考えた」という。「磁石のように人を結びつけた」山田さんの生き方が伝わってくる。上映は連日午前10時半からの1回のみ。30日まで。一般1700円。問い合わせはユーロスペース(03・3461・0211)へ。【柴田真理子】
〔都内版〕
毎日新聞 2009年1月8日 地方版