【第35回】 2008年12月22日
総集編~あの作り方は今
2009年は「古いしがらみ」を捨てる勇気を持とう!
竹中 あの時点では、麻生首相はまだ決まっていませんでしたが、財政派の政治家も増税派の政治家も、実は根本は同じです。だいたいの場合、財政を拡大した後で増税する人が多いですから。今後も、本当にこんなやり方で日本はやっていけるのか。それを判断するのは、結局国民なんです。
上田 しかし、その後麻生内閣が誕生し、本当にもう「バラまき」の方向へ進んでいますよね。
竹中 今日本に必要なことは、本来日本が持っている強さを発揮すること。それには「構造改革」が不可欠であり、よく批判される格差の拡大や地方の疲弊などは、実は全然関係ないんです。
しかし、その関係ないことを持ち出して、政治的な意図でネガティブキャンペーンを行なう人たちがたくさんいるのが現状なんです。こんな状況を見たら、外国人は「日本はいったい何をやっているのか」と思いますよ。
いつの間にか減税から給付へと様変わり
麻生内閣の「景気対策」に効果はあるか?
上田 確かに、格差が社会問題化している今、構造改革を行ないにくい状況になっています。しかし、やはり「構造改革は必要」だと?
竹中 もし改革をしないと、格差はもっと広がると思いますよ。今やグローバル化やデジタル革命などでフロンティアが拡大している世の中です。それに伴い、改革が行なわれなくなった後も、高所得層と低所得層との格差が世界中で拡大し続けています。
本当は構造改革が格差の解消につながるのに、その入り口のところで少しばかり格差が拡大したら、さも改革が悪かったように議論されてしまった。その一方、選挙対策などを目的とする「バラまき」が行なわれました。
上田 今話題になっている「定額給付金」もその1つですね。
竹中 これ、最初は「減税」と言っていたのに、いったいいつから「給付金」に変わったんでしょうね? 政府からは何の説明もありません。そもそも減税は税金をたくさん払っている人に対する軽減措置、給付金の対象はすべての国民です。もう、根本的に違う政策になっていますよね。以前は効果がないと思われていたものが、今度は「効果がある」と政策に盛り込まれても、いったいどんな効果があるのか、さっぱりわかりません。
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竹中平蔵
(慶應義塾大学教授 グローバルセキュリティ研究所所長)
1951年生まれ。一橋大学経済学部卒業後、日本開発銀行に入行。ハーバード大学、ペンシルバニア大学客員研究員、大阪大学助教授、慶應義塾大学教授などを経て、01年より小泉内閣で金融担当大臣、経済財政政策担当大臣、郵政民営化担当大臣、総務大臣を歴任。04年から06年まで参議院議員。
上田晋也
(タレント)
1970年生まれ。お笑いコンビ「くりぃむしちゅー」メンバー。早稲田大学教育学部中退。91年に有田哲平とコンビ結成。レギュラー出演番組多数。
経済学者・竹中平蔵と、くりぃむしちゅーの上田晋也が、毎週楽しくわかりやすく日本の経済を解説。同名テレビ番組(BS朝日、朝日ニュースター)の一部を再構成してお届けします。