【第35回】 2008年12月22日
総集編~あの作り方は今
2009年は「古いしがらみ」を捨てる勇気を持とう!
上田 わかりました。では、続いて9月14日放送の第23回「緊急経済対策は誰のため!?」について、振り返ってみましょう。
竹中 福田総理の最後の置き土産である「総合経済対策」(安心実現のための緊急総合対策)の骨子には、特徴が2つありました。
まず、対策の正式名称に「経済対策」という言葉が入っていない。これはあえて言えば、国民の方を向いた政策ではなく、「政治家の安心のための緊急選挙対策」に過ぎないことの象徴です。
よくおカネの「バラまき」と言われますが、大問題は、財政のバラまきと、本来財政政策でやる必要がないことを財政を使ってやろうとすること。政府は本当に必要な構造改革をやらないで、「財政のバラまき」だけでごまかしているようにしか思えませんね。
実は政治家のための「総合経済対策」
バラまき体質は、ここに極まれり!
竹中 この骨子には「定額減税」が盛り込まれていますが、これは「国民全員に均等に同じ税金を返す」ということです。私には、それが本当に効果があることには思えません。
実は1990年代後半に、景気対策として「地域振興券」という一種の商品券が配られたことがありますが、いくつかの実証によると、ほとんど効果がなかったようです。やはり、おカネをもらっても、将来に不安があったら人は使いませんよ。構造改革もやらずにおカネだけ渡しても、こういう問題が出てくるんです。
そこで、「重要なのは栄養ドリンクより筋トレだ」と言いました。栄養ドリンクはおカネが回るようにするための財政政策、筋トレとは、構造改革をやって日本経済そのものを強くすることです。将来の期待成長率が高まるようにしないと、90年代の二の舞になってしまいます。
上田 なるほど。一時しのぎではダメで、経済に「自力」をつける必要があるんですね。
竹中 その通り。いくら景気が悪いと言っても、手を差し伸べ過ぎると、日本経済はどんどん弱くなってしまいかねませんから。
| 第35回 | 総集編~あの作り方は今 (2008年12月22日) |
|---|---|
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竹中平蔵
(慶應義塾大学教授 グローバルセキュリティ研究所所長)
1951年生まれ。一橋大学経済学部卒業後、日本開発銀行に入行。ハーバード大学、ペンシルバニア大学客員研究員、大阪大学助教授、慶應義塾大学教授などを経て、01年より小泉内閣で金融担当大臣、経済財政政策担当大臣、郵政民営化担当大臣、総務大臣を歴任。04年から06年まで参議院議員。
上田晋也
(タレント)
1970年生まれ。お笑いコンビ「くりぃむしちゅー」メンバー。早稲田大学教育学部中退。91年に有田哲平とコンビ結成。レギュラー出演番組多数。
経済学者・竹中平蔵と、くりぃむしちゅーの上田晋也が、毎週楽しくわかりやすく日本の経済を解説。同名テレビ番組(BS朝日、朝日ニュースター)の一部を再構成してお届けします。