【ニューデリー=高野弦】インドのIT大手、ウィプロ・テクノロジーズが世界銀行から取引の停止処分を受けていたことが12日、明らかになった。世銀の職員に「不適切な利益供与」をした疑いがもたれている。インドIT大手では、粉飾決算で創業者が逮捕されたサティヤム・コンピュータ・サービスも世銀から同様の処分を受けており、業界全体の企業統治(コーポレートガバナンス)のあり方が改めて問われそうだ。
世銀の発表によると、ウィプロとの取引停止期間は07年6月から4年間。利益供与の内容は明らかにしていないが、同社は「米預託株式を米市場に上場する際、職員に株式を譲渡した経緯がある」と説明している。ウィプロは売上高でインドIT2位。世界に50カ所以上の事務所を構え、顧客企業は900社を超える。
今月7日に巨額の粉飾決算を公表した同4位のサティヤムも世銀職員に不適切な利益供与をしたとして、08年9月から8年間の取引停止になっている。