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イスラエル軍「白リン弾」使用か ガザの死者885人に

2009年1月11日23時19分

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 【エルサレム=井上道夫、古谷祐伸】イスラエル軍は11日も、イスラム過激派ハマスが支配するパレスチナ自治区ガザへの攻撃を続けた。先月27日の攻撃開始からの死者数は、AFP通信によると計885人、負傷者は3620人に達した。国際的に批判されている「白リン弾」の使用も指摘され、イスラエル非難の声は強まっている。

 同通信によると、ガザの病院の医師が11日、「白リン弾で少なくとも民間人55人がやけどをした」と証言。AP通信は女性1人が死亡、100人以上が負傷したと伝えた。

 白リン弾は、主に敵の目をそらす煙幕を張るために用いることが多いが、ざんごうなどに隠れている敵をあぶりだす際にも使われる。化学兵器とはみなされておらず、国際条約上、明確に使用が禁止されてはいないことから、米軍が04年にイラクで、イスラエル軍も06年のレバノン紛争で白リン弾を使った。

 だが、高熱を発するためやけどだけでは済まず、体に深刻なダメージを与えることもあり「非人道兵器」との指摘も多い。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)も10日、ガザのような人口密集地での使用は国際人道法に違反すると訴えた。

 イスラエルは攻撃続行の姿勢を変えていない。オルメルト暫定首相は11日の閣議で「ゴールに近づいているが、さらなる辛抱と決意が必要」と語り、即時停戦に応じない姿勢を改めて強調。地元メディアによると軍高官は10日、武器密輸トンネルを二度と掘れなくするためには、少なくとも1月末まで攻撃を続ける必要があるとの見解を示した。

 イスラエル軍は11日午前までに、ガザ南部ラファのモスク(イスラム礼拝所)や武器密輸トンネルなど60カ所以上を空爆。モスク攻撃は「武器庫になっているため」としている。現地の報道では、イスラエル軍機は「間もなく攻撃を強化する」との警告ビラを投下しているという。

 一方、アフリカ西部のモーリタニアがガザ侵攻に抗議して、駐イスラエル大使を5日に召還した。モーリタニアはエジプト、ヨルダンと並び、イスラエルと国交がある数少ないアラブ諸国の一つ。

 カイロではハマスとエジプトにトルコも加わり停戦を巡る協議が続いているが、成り行きは不透明だ。

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